将棋の三礼
このところ、子どもたちの間で将棋がブームになっているそうです。
そして、この将棋を教育の一環として積極的に取り入れる動きもあります。
『将棋をやってる子供は、なぜ「伸びしろ」が大きいのか?
最初は、まず駒を並べて相手と向き合い、
「お願いします」
と礼をする。
対局が始まると、双方無言で、パチンという駒の音だけが響く。
人は喋らないが、駒が喋っている。
対局の最後に人が発する言葉が、
「負けました」
というものです。
自分が負けたことを相手に宣言する。
そういうことを言うゲームは他にないかも知れません。
勝負がつくと、「感想戦」というものをします。
ゲームを巻き戻して、
「ここでこうすれば勝てたよ」
などと2人で振り返るのです。
そこで、対局者は仲間になります。
感想戦が終わると、最後に相互が、
「ありがとうございます」
と挨拶します。
このように、将棋は礼に始まり、礼に終わるのです。
この他にも、将棋にはいろいろな利点があります。
「自分で考え、自分で決断する」ことを学びます。
誰の手助けもなく、すべてが自己責任です。
子どもがこのように取り組むのですから、応援にきた父母も、
「○○ちゃん、がんばって!」
などと声援を送ることはできません。
遠巻きに黙って「無言の応援」をするしかないのです。
まさに「見守る」のです。
もう一つ、
「気持ちを折りたたむ」
という内面的な作業も重要です。
「負けました」というのは、言いやすい言葉ではありません。
悔しさや泣きたい気持ちを我慢して「負けました」と言って、どこが悪かったのか相手に教えてもらう。
ここを越えるには、内面の葛藤を整理しなければなりません。
相手は勝ったのですから、自分にないものを持っている。
それを教えてもらいながら、相手も、
「ぼくも苦しかった。こうすれば君が勝てたよ」
「ああ、そうだったのか。ぼくもこんな気持ちだったんだ」
と、自分の気持を振り返ることができる。
感想戦とは、このように、
「自分の気持ちを折りたたむ」
ことなのです。
羽生善治名人は、一局対戦すると、大体相手の性格や考え方が分かるそうです。
そのように相手と向き合いながら、結局は自分自身と深く、静かに向き合っていると言えます。
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