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まるくまーる(旧・教育部長の講義日記)

地震と共存する文化

2011/03/16
世の中を看る 0
枝野 

東海地震説の提唱者として知られる石橋克彦・神戸大学 都市安全研究センター教授が、
地震と共存する文化を
という趣旨の提言を、6年前の国会(予算委員会公聴会)でしておられるのを読みました。
(「
迫る来る大地震活動期は未曾有の国難である」)

石橋 
その中で先ず、日本の地震の起こり方には「静穏期」と「活動期」とがあると指摘されています。
1960年代から日本が高度成長を遂げて都市が巨大化し、一極集中型の社会構造になった時期は、「静穏期」に当たります。
それで、今日出来上がった都市は幸いにも、大地震の洗礼を受けることなくきたのです。
しかしそれは、日本の国家社会が大地震に対して脆弱な要素を内包しているということを意味します。

ところが、しばらく前から日本列島全体が、大地震の活動期に入りつつあるというのです。
そして実際、誰もが予想しなかったほどの大地震が東日本を襲いました。

最後の結論をご紹介する前に、石橋教授の論点を要約してみます。

【「地震」と「震災」とは分けて考えるべきである】

「地震」とは、地下の岩石の動きです。
これは自然現象であり、善いとも悪いとも言えない。

一方「震災」とは、「地震」によって引き起こされる社会現象です。
この「震災」のなかには、

1.広域複合大震災
2.長周期震災
3.超高層ビル震災
4.オイルタンク震災
5.原発震災

などが考えられます。

例えば、大地震が東京直下で起きれば、首都機能が麻痺し、東京を放棄せざるを得なくなる可能性があります。
原発震災まで併発すれば、周辺の地域の水源が汚染され、人が住めなくなる可能性もあります。

そうなると、世界の国際市場で日本の国債が暴落する事態になり、世界経済は大混乱するでしょう。
物理的にも社会的にも日本の衰亡に至りかねないと思われます。

そこまで考えると、従来の地震防災という概念ではとても対処できないことが分かります。

石橋教授の見るところ、現在の日本の国土とか社会の情勢は、地震に対して非常に弱くなっています。
例えば、地方の小さな山村とか地方都市が地震に襲われた時、本来はそこが自立、完結して震災後の対応をしなければならないのに、そういうことが極めて難しい状況になっているのです。

そこで、最後の結論「地震と共存する文化を作っていく」という提案が出てきます。

そもそも日本列島に居る限り、地震と共存する文化というものを確立しなければならない。
つまり、従来は自然と対決する文明で、それに対して最新技術でもってバックアップしようという考え方でしたけれども、自然の摂理に逆らわない文明というものを我々は作っていかなければならないと思います。

要するに開発の論理、あるいは効率、集積、利便性の論理、それから東京一極集中、都市集中の論理、そういう物をやはり見直してですね、保全とか小規模、多極分散、安全と落ち着き、地方自立、国土の自然力と農村漁村の回復、といったようなことをキーワードにして、根本的な変革が必要であると、まあその地震災害を考えると、私は強く思います。

ここでは、これ以上に突っ込んだ具体策については論及されていませんが、重要な提言のように感じます。
自然との対決」「開発」「効率」「利便性」「都市集中の論理」などといった、私たちの生活全般に関わる「パラダイム(考え方の枠組み)」への再検討を促すものがあるからです。

実際、今回の大震災からの復興の過程において、私たちは確かにこういう根本問題にまで立ち返っていく状況に立ち至るかも知れません。

【参考に】
福島の原子力発電所に関する専門的で適切な解説を武田邦彦教授がしてくださっています。
武田邦彦(中央大学)

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