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概念は肉体に宿り、感覚は霊人体に属する

kitasendo
2023-09-05

「概念は肉体に宿り、感覚は霊人体に属する」

ふつうの考へとは逆のやうでもあるが、案外こちらが正解ではないかといふ気がしてゐるのです。それについて、少し説明してみませう。

肉体も霊人体も、それぞれ「心」を持つてゐると考へられます。肉体の心を「肉心」と呼び、霊人体の心を「生心」と呼びます。

「肉心」は動物における本能性に当たるとも説明されるので、あまり高等な心ではないと勘違ひすることがある。しかし実際には、我々の日常生活を管理し、保護してくれる主要な働きをするのが「肉心」です。

「肉心」は脳を使つて高度な思考をし、さまざまな概念を作り上げます。

まづ「言葉」を作り出す。その「言葉」によつて、微妙に違ふ個物を「同じもの」に括ります。これを「概念化」と呼びます。

例へば、形は微妙に違つてゐても、赤くて、甘酸つぱい味のする果物を「リンゴ」といふ名前で一括りにする。同様の手順で「ミカン」を作り、「バナナ」を作る。

さらには、「人間」を作り、その下位概念として「人種」を作り、「民族」を作る。「お金」を作り、「国家」を作り、「宗教」を作り、「科学」を作る。

概念化とは、譬へてみれば、ジャングルを切り拓いて都市を作るやうなものです。無秩序に繁茂してゐた(やうに見える)木を切り倒して更地にし、そこに人間の知性で描いた設計図通りの道を通し、ビルを建てる。すると、人間にとつてはとても住みよい環境になります。

しかしその一方で、概念は我々を縛りもします。「人種」も「民族」も「国家」も「宗教」も、その内部ではアイデンティティを一致させて団結しやすい反面、外に対しては排外的で、対立を生みやすい。国境をはじめとしたあらゆる境界線は、概念が作り出した幻想と言つてもいゝでせう。

こゝで必要になるのが、霊人体の心「生心」です。

「生心」は概念を作り出さない。その基本は「感覚」です。

赤い色をした甘酸つぱいものを食べたとき、
「これは美味しい」
と、その味を堪能するのが「生心」です。

味覚は肉体の五感を通して肉体(脳)が感じてゐるやうに思はれますが、実際に感じてゐるのは「生心」あるいは「霊人体」ではないかと、私は思つてゐます。

「スピリチュアル」といふ言葉は、良い意味では「目覚めた人」のやうにも使はれ、悪い意味では「根拠のない怪しげなもの」のやうにも見なされます。しかし、人間が「霊人体」を持つてゐるとすれば、本来は誰でも、ふつうに「スピリチュアル」なのです。

霊が見えたり、先祖の声を聞いたりする必要はない。日常でご飯を美味しく食べ、人と接して愛情を感じ、喜んだり悲しんだりする、そのすべてが「スピリチュアル」です。

「肉心」と「生心」の大きな違ひを考へてみませう。それは、時空の有無です。「肉心」は時空の中で働き、「生心」には時空がありません。

肉心は過去の体験を記憶として保存します。そして必要に応じてその記憶を引き出し、思考の材料に使ひます。つまり肉心の判断基準は「過去の記憶」なのです。

肉心は「未来」があると思つてゐるので、それもまた「過去の記憶」に基づいて構想します。「未来のために、今を我慢(犠牲に)しなければ」と考へたり、「このまゝではうまくいかないかも」と、いまだ現実化もしてゐないことに不安を感じたりします。

肉心はまた、「空間」もあると思つてゐるので、「世界の中の私」といふ自己認識を持ちます。宇宙の中の太陽系、太陽系の中の地球、地球の中の小さな私。さういふ見方です。

それに対して、生心には時間がなく、つねに「今」しかありません。リンゴを食べても、今の「美味しい」といふ味覚しかないのです。今の味覚に没頭し、それを霊人体に刻み込みます。

生心には空間もないので、「私の中の世界」に生きてゐると感じます。宇宙も太陽系も地球も、すべての人もものも、みんな「私の中の世界」にあると思つてゐるのです。

だから例へば、私が誰かを嫌ひだとすると、それはその誰かが悪いからではなく、私の中にその人を嫌ふ要素があるからだと考へます。それなら、私がその人を嫌ひだといふ事実を変へるには、私自身の要素を変へるしかないし、それで十分だと考へます。

我々が死ぬと、この肉体を捨てて、霊人体だけがあの世(霊界)に行くと、私は信じてゐます。さうだとすれば、死ぬとともに肉体がなくなり、肉心もなくなるので、概念もなくなるでせう。残るのは、霊人体の感覚だけです。

イエス様が
「擦り切れることのない財布を作り、盗人も近寄らず、虫も食い破らない天に宝を蓄えなさい」(ルカ福音書12:33)
と言はれたのも、このことでせう。

「死ぬときには、霊人体に刻まれた感覚しか持つて行けない」
といふことです。

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Admin:kitasendo