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まるくまーる(旧・教育部長の講義日記)

走り続ける人生

2023/05/13
鑑賞三昧 0

インターネットで偶々出会つた動画。わづか5分あまりの短いものですが、その間、づつとバイクで走り続けてゐます。

若い男性が運転し、女性が後ろに座って、必死に男性にしがみついてゐます。そのバイクを後ろからづつと追ひかけてゐるのは、多分白バイでせう。動画はその白バイから撮つてゐます。

どんな悪事を働いたのかは分かりませんが、とにかく白バイに捕まらないやうに、凄いスピードで逃げ続ける。かなり巧みなハンドルさばきです。

広い道では、行き交ふ車の間を巧みにすり抜けて走る。そして、次第に狭い道に入る。最後は路地のやうなところに入り込み、ハンドルを切り損ねて、転倒する。白バイに追ひつかれてお縄になり、動画はそこで終はります。

単純な動画ですが、どこで転ぶのか、どこまで逃げ続けるのか、最後はどうなるのかといふ興味から、ついつい最後まで見てしまひました。

ただ、動画の途中で、ふと、
「これは、我々の人生だな」
といふ気がしたのです。

広い道はもちろん、狭い路地裏のやうな道までも、ほとんどは舗装されてゐて、走るに困難なことはない。そんな道が、網の目のやうに作られてゐます。これは我々が生きてゐる現代の世界です。

その道を、たゞ逃げる。そして、そいつを捕まへなくてはいけないと、たゞ追ひかける。逃げるバイクに目的地はないのです。ないけれども、走るしかない、逃げるしかないから、ただ走り続ける。

下手をすると、我々の人生もこんなふうになり得るなと思ふのです。

今はとにかく、目の前に見える道を走るしかない。車と車の間の狭い隙間をすり抜けるスリルはある。あの先の角を曲がつたら、次はどんな道が現れるだらうか。新しい景色が次々に開けてくる刺激もある。

しかし、究極的に目的地がないのです。走つて逃げ切ることだけが、人生の原動力なのです。スリルと刺激はあるけれど、それだけでは虚しい。途中までは面白いとしても、間もなく飽きてくる。

やはり我々は、人生の目的地がほしい。道から道へとたゞ走り続けるのではなく、少しづつでもいゝから、階段をのぼるやうに、だんだんと高まつていきたい。さういふ本性が、我々の中には確かにありますね。

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