被害者意識を卒業しよう
日本の戦後には、謂はば「GHQ悪玉論」とでもいふべきものがあります。
敗戦で焼け野原になつた日本にGHQがやつて来て、約6年半にわたつて支配した。その占領政策、洗脳教育によつて我々日本人は日本人としての自尊心を失ひ、愛国心を持てなくなつた。
確かにさういふ面はあるでせう。しかしこれは誰かを悪玉にして、自分たちを被害者に仕立てる考へ方でもあります。それは自ら限界を設けて、発展の道を塞ぐものではないか。
それで、作家の石川真理子さんは
「被害者意識から卒業しよう」
と言ふのです。
まだGHQの洗脳に縛られている日本人に伝えたいこと| 石川真理子×小名木善行
卒業するためには、どうするのか。我々が元々持つてゐる本性の魂に目を向けてみようといふのです。
確かに洗脳教育の威力は強力でせう。しかし我々日本人の魂は、そんなもので破壊されてなくなるほど軟(やわ)なものであらうか。そんなことはない。我々はもつと自分たちの持つ精神性に誇りを持つべきではないか。
さういふ石川さんに、私も共感します。
それなら、日本人が自らのうちに自覚した精神性の中核とは何でせうか。
石川さんはそれを
「直霊(なおひ)」
と言ふ。
これは遠く記紀に由来し、幕末に本田親徳(ほんだちかあつ)といふ国学者が「一霊四魂」として人間の心の構造をまとめたもののやうです。
「一霊」とは直霊のことであり、「四魂」とは「荒魂(あらみあま)」「和魂(にぎみたま)」「幸魂(さちみたま)」「奇魂(くしみたま)」の四つの魂です。
本田によれば、直霊はこれら四つの魂を統括し、神に直結する人間の中心部分です。さういふ深い精神性を、日本人は数千年かけて培つてきた。今の我々はそれを一時的に見失つてゐるやうではあるが、決して失つたのではない。
「被害者意識を卒業して、自分本来の姿に目を向ける」
被害者意識は自身の無力感から生まれ、それを増幅する。その意識は外なる「悪玉」を糾弾するだけで、何ら建設的なものを生み出さない。それよりも、自分の内なる本性の創造力に注力する。
これはGHQ問題に限らず、万事に通じる重要なことだと思ふ。

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