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まるくまーる(旧・教育部長の講義日記)

良きアドバイスをください

2022/03/10
世の中を看る 1
就職

ある人生相談のサイトに、かういふ相談が寄せられてゐるのを見ました。

① 自閉症気味の息子が最近、笑へない冗談を連発したり、気味の悪い声を発したりする。「そんなことばかりしたら誰からも好かれないよ」と諭すのですが、一向に直らない。どうしたらいゝでせうか。

② 大学に在学中です。卒業後は就職しなければなりませんが、これからの時代、どんな業種、どんな会社が理想的でせうか。アドバイスをお願ひします。

さて、この2つの相談。あなたならどんなふうに回答しますか。

真正面から答へようとすれば、自閉症についての専門知識が必要で、日本の産業界に熟知してゐないと的確に答へられない。そんなふうにも思ひますが、相談者の問題は案外違ふところにあるのかもしれません。

この2人の相談者には、ある共通の思考パラダイムがあるやうに思へます。何かといふと、問題は自分の外にある、理想も自分の外にある。さういふパラダイムです。そのパラダイムに気づいてもらふだけでも、かなり役に立つ回答になりさうな気がします。

自閉症の息子は、お母さんが嫌なのです。だから変な冗談を言つたり、おかしな声を出したりしてお母さんを困らせてゐる。

なぜお母さんが嫌なのか。お母さん自身が幸せさうに見えないからです。

このまゝでは息子は誰からも好かれない。何とかして人から好かれるやうな人間にしてやらなければと、お母さんは腐心し、問題点を指摘して直してやらうと一生懸命です。

ところが息子から見ると、そのお母さんが幸せさうに見えないし、第一、息子から好かれてゐない。そのお母さんから「人に好かれるやうになりなさい」と言はれても、「何言つてるの」といふことになる。

だから、お母さんが「問題だ」と思つてゐる問題の本質は、息子にあるのではなく、お母さん自身にあるのです。

お母さん自身が息子から好かれるお母さんに、いかになるか。お母さん自身が喜んで生きてゐれば、息子がお母さんを羨むやうになり、おかしな声を発してお母さんを困らせてゐる場合ではないと思ふやうになる。

就職先を思案してゐる大学生も同じです。

理想の会社、あるいは理想とまではいかずとも満足のいく条件の会社がどこかにあると思つてゐる。それをうまく探し当てさへすれば、自分の仕事人生は順調に進むだらうと思つてゐる。

ところが、理想の会社など、どこにもない。あるのは、私自身が理想的な社員になれるかどうかの可能性だけなのです。

良ささうだと思つて入社して見たら、見かけと違つて雰囲気は悪いし、仕事もきつい。さうすると「理想の会社ぢやなかつたな」と幻滅する。

しかしさういふとき、
「自分はこの会社にとつて理想的な社員だつたのか」
といふふうにはなかなか自問しないものです。

問題は自分の外にあると考へる場合、問題が自分を悩ませてゐると考へる。理想が自分の外にあると考へる場合、理想はすでに誰かが創つてくれてゐると考へる。これはなかなか気づきにくい、厄介な思ひ込みのやうに思はれます。

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問題をまるく解決する2
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2022/03/11 (Fri) 07:26