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まるくまーる(旧・教育部長の講義日記)

偶然の浄化

2022/02/28
生活日記 1
仏教
偶然の浄化

前回の記事「幸福な偶然の物語」で取り上げた「偶然」について、もう少し考へます。

3ヵ月ぶりくらゐにシルバー人材センターから仕事の案内が来て、1日だけ働いてきました。介護との兼ね合ひもあり、力仕事も避けてゐるので、紹介されるのは大抵部屋の中で郵便物を折つて封筒に入れるやうな作業です。

今日もさういふ仕事。集まつたのは私をふくめ、いつもより少なめの3人です。Aさんは七十がらみの男性。Bさんはこれも七十前後と見える人の好ささうなエプロン掛けのおばあさん。

作業の合間合間に雑談が始まる。まづはAさんから妻にまつはる身の上話が出る。

8年前に悪性リンパ腫が見つかつた。地元の日赤ではとても対処できないと言ふので、だいぶ離れた別の市の医大病院に入院する。そこで「幹細胞移植」を勧められる。

事前に7クールの過酷な抗がん剤治療があつたこと。術前術後合はせて7カ月近く入院が続いたこと。医大の研究に協力するとの契約で200万近い入院費がゼロになつたこと。手術はうまくいつたものの、今でもなかなか本調子ではないこと。

そんな話がひと通りすんだあとで、
「孫が6人ゐるんです。内孫は1人で、あとはみな外孫。でも、外孫のほうが可愛い」
さう言つて、スマホに入つてゐる一番お気に入りの外孫の写真を見せてくれる。

Bさんにも見せる。Aさんは見せながら、
「歌舞伎俳優の市川海老蔵さんに勸玄くんといふ息子がいるでしよ。あの子に似てるとよく言はれる」
と、いかにも孫好きのおぢいちやん丸出しです。

すると、Bさんが
「孫は可愛いね。私には孫なんて…」
とポツリと漏らす。

Bさんもこの歳なら、孫が何人ゐてもおかしくない。最初私は気にもとめなかつたが、しばらくして今度はBさんの身の上話が始まつた。そして思ひもかけなかつた話が展開するのです。

20年ほども前から心臓を患つてゐたご主人が、薬でだんだんと体を痛め、ちやうど1年前に他界。息子が2人ゐて、長男が父の家業を継ぐ予定だつた。ところが5年ほど前、次男が病死。それにショックを受けた長男は精神を病み、とても仕事どころではなくなつた。

しかも、もう少し聞くと、娘さんも2人ゐたが、2人とも幼くして亡くなつたといふ。そしてBさん本人も8年ほど前大腸がんになつて手術した。抗がん剤はきつくて途中でやめたが、手術のお蔭か、今に至るも再発がない。

そんな話をひと通りし終はつて、Bさんは
「何から何まで不幸だらけなんです。不幸しかない人生。どうしてこんなに不幸ばかりなのか…」
と、絞り出すやうな声で結論をつける。

息子さんは2人とも未婚だから、孫は1人もゐない。引きこもりになつた息子さんを抱へて、かうしてわづかな収入のためにシルバーに籍を置いてゐる…。

慰める言葉もない。と同時に、
「どうして、今日、かういふ偶然に出会つたんだらう?」
といふ思ひが浮かんできたのです。

AさんもBさんも病気に悩まされ、決して楽な人生ではない。しかし一方には病身ながら妻と可愛い孫が6人おり、もう一方には旦那さんも孫もゐない。2人の話を聞いてゐる私は20年前に妻を亡くしてゐる。

今日のこの3人の出会ひは「偶然」といふ表現もできる。しかし一体何のためにこの「偶然」が起こつたのだらう。「偶然」は単なる「偶然」だらうか。

そのことを家に帰つてからもづつと思ひめぐらしてゐると、あるブログの中に
偶然の浄化
といふ言葉を「偶然」に見つけたのです。

そのブログによると、偶然はその機会を浄化するために私の目の前に現れるといふのです。

Aさんの妻の悪性リンパ腫も、Bさんの山盛りの不幸も、今日私が「偶然」に出会つて、それを浄化するためであつた。どうも、さういふことのやうです。

これはどういふことかといふと、「偶然」に出会つた今日の問題は他人事ではない。私自身の問題だといふことです。私の問題に気づくために、今日Aさん、Bさんと出会つたのです。

だから「偶然を浄化する」とは、「偶然」を通して私の中の問題を浄化するといふことです。

もちろん、私の中にどんな問題があつて今日の「偶然」に出会つたのか、その詳細は分からない。仏教的にはかういふとき「袖すり合ふも他生の縁」と言ふのでせう。だから仏教なら、「南無阿弥陀仏」と唱へる。

前の記事でも書いたやうに、今の私ならその名号の代りに「ありがたう」と唱へる。

「私の中の問題に気づき浄化できる偶然を与へていただき、ありがたう」
といふことです。

私の中の問題が浄化されたぶんに応じて、AさんBさんにも助けになると信じる。

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人生は逆転する2
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Comments 1

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aki

中国による尖閣侵攻危機と、憲法改正の必要性を知って下さい

書込み大変失礼致します。
皆様にこの度どうか知って頂きたい事があり、誠に恐縮ですが書込ませて頂きました。

テレビが大きく報じぬ中、連日尖閣奪取を狙う、中国の日本領海侵犯が激しさを増す現状を、中国に侵略虐殺を受けるウイグル等と重ね、どうか多くの方に知って頂きたいです。

かつて9条の様に非武装中立を宣言し、平和的で軍事力の弱かったチベット等は、中国に武力で侵略虐殺され、その覇権拡大は現在進行形で行われています。

韓国が日本の竹島を不法占拠した際、多くの船員が機関銃で襲撃され死傷し、北朝鮮には国民を拉致され、
尖閣には中国艦艇が侵犯する現状でも、9条により日本は国を守る為の手出しが何一つ出来ません。

中国等の数百発の核ミサイル標準は常時日本に向けられており、尖閣、台湾周辺の動きも激化する中、9条を改正し自立した戦力を持たなければ、
有事の際、敵基地攻撃能力を持たぬ現状防衛力では、日本人の命と領土は守れません。

中韓による侵略は、メディアや野党が法制化を目指す、外国人参政権や夫婦別姓等からも始まっており、
外国人参政権はアメリカ始め世界でも認める国は少なく、

ハワイは米国に外国人参政権を与え乗っ取られ、ウクライナのクリミア半島も住民投票を行った体でロシアに帰属しました。

又夫婦別姓についても元々は中韓の制度であり、地位の低い女性は夫の姓を名乗らせないという、女性蔑視の歴史的背景によります。

この夫婦別姓は最終的に日本の戸籍廃止を目的としており 、戸籍により追跡発見が出来た
背乗りやスパイ等の犯罪も、これを無くす事で不都合な出自隠蔽も容易となります。

中韓に軸足がある野党やメディアが、制度の危険性を隠し国民を誘導する現状からも、既に浸透工作は最終段階である事、
日本でウイグルの悲劇を生まない為に、一人でも多くの方に目覚めて頂きたいと切に思い貼らせて頂きます。
https://pachitou.com
長文、大変申し訳ありません。

2022/02/28 (Mon) 23:03