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まるくまーる(旧・教育部長の講義日記)

引き寄せられる人生

2021/11/21
胸に響く言葉 1
小林正観
森田健

一時期、森田健といふ一風変はつた人から不定期的にニュースレターが送られてくることがあつた。

あるとき、そのレターの中に
引き寄せられの法則
といふ言葉がある。

変はつた人だから、世の中とは反対のことをよく言ふのです。言ふまでもなく、世に広まつてゐるのは欧米発祥の「引き寄せの法則」。

その要諦は、
人間は自分自身の現実の創造者である
といふことです。

「願望をかなへる」「夢を実現する」といふよりも、「自分自身で創造する」。その意味で人間は「神」と同じだとも言ふのです。いかにも西洋キリスト教らしい発想だとも言へます。

それに対して、森田氏は、
「私は自分で達成したものなど、何一つない。でも、誰もやつてゐないことをやつてゐる」
と言ふのです。

誰もやつてゐないことをどうやつて達成したか。その秘訣が「引き寄せられの法則」なのです。

「引き寄せの法則」では自分が主体です。自分は動かないでゐて、自分が願望するものを周りから自分のほうに動かさうとする。

それに対して「引き寄せられの法則」は自分が対象になる。何かはつきりとは分からないながら、自分よりもはるかに大きなものを自分の主体として、その意に自らの意志を沿はせようとする。

すると、その大きなものは、自分なりに願つたものよりもはるかに大きなものへと導いてくれる。目には見えないけれども確かにそのやうだと、森田氏は体験的にさう感じてゐるのです。

「引き寄せの法則」による成功体験談は多くあり、そのパワーを否定するものではありません。しかし、この法則が一世を風靡することによつて、人類は得たものよりも遥かに大きなものを喪失したのではないかと、密かに訝つてゐるのです。


「引き寄せの法則」は自分の願望を明確にし強化するものですが、その願望はどこから来るのか。

「かういふ成功をしたい」
「これだけの収入を得たい」
「かういふ計画を実現したい」

これらの願望は、自分の意識から来るのです。「これが実現すれば、自分は幸福になるだらう」と頭で考へて計算し、それを実現しようとする。

ところが、この世には無限の可能性が「願望」として充満してゐる。その充満した空間の中に私が存在してゐて、その無数の「願望」の中のごくわづかなものだけを自分の意識で捉へ、それを「私の願望」だと考へる。そしてそれだけを「引き寄せ」ようとするのです。

さうすると、私の意識で捉へなかつた無数の「願望」はすべて「引き寄せ」の対象とはならないまゝに、比喩的に言へば、私の無意識の底に沈んで永劫にわたつて日の目を見ないこととなる。

日の目をみなかつた「願望」の中に、私が意識的に捉へた「願望」よりも、私にとつて遥かに有益なものがなかつたと、どうして言へるでせうか。私はむしろ、我々の意識は往々にして、二次的三次的な「願望」を捉へてしまひやすいやうな気がする。なぜなら、我々には相当強い「我欲」がある上に、目に見えるものを優先しやすいからです。

森田さんは、もし自分なりの願望を持ち、それを実現するために「引き寄せの法則」を一生懸命に応用してゐたら、自分の意識も行動も日本といふ狭い枠から出ることができなかつただらうと言ふのです。「自分なりの願望」で生きなかつたからこそ、その願望の広がりの外に出ることができたのでせう。

「引き寄せられの法則」で生きる場合、「自分なりの願望」に従はないとすれば、一体何に従ふのか。それを森田さんは「内なる声」と表現してゐます。これは「自分なりの願望」と似て非なるものなのです。

「自分なりの願望」は「自分」の願望であるのに対して、「内なる声」は私を引き寄せようとする「大いなるもの」の願望だと言つていゝと思ふ。

小林正観といふ人は
自分は最後の20年くらゐ、夢も希望のない生き方に身を委ねてみる人生の実験をした
と、彼の著書に記してゐます。

「夢も希望もない生き方」と言へば、いかにも情けない人生に思へますが、さうではない。この言葉の前に「自分なりの」を付けるのが正観さんの本意なのです。

「引き寄せる人生」と「引き寄せられる人生」。天動説と地動説の関係にも似てゐるやうに思へます。自分よりも大きなものに引き寄せられ、その周りを廻る人生。その人生に、私はより魅力的な深みを感じるのです。

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なるほど、小林正観2
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Comments 1

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🍀

先生、ありがとうございます。
先日気付かされた事、本日の礼拝の説教「賢い人ーヨセフ」、そして先生のブログ。
奴隷の身でありながら、パロの前で先ずは、堂々と神を証したヨセフの様に、天を思い愛する心を優先する。
その様に、生きたいです。

2021/11/22 (Mon) 01:03