無制限で自由な愛と結婚
わたしが言つたのは … 人間という種は、無制限で永遠で自由な愛を経験したいと切望するということだ。結婚という制度は、永遠を創造しようとする試みだった。結婚によって、生涯のパートナーになることを約束しあおうとした。だが、「無制限」で「自由」な愛の創出にはあまり役立たなかったね。 (『神との対話3』ニール・ドナルド・ウォルシュ) |
前回の記事「許す神は良い神か」で、夫婦の一方が浮気をした実例を取り上げ、夫婦の関係をどう修復できるかといふカウンセラーのアドバイスを紹介しました。
アドバイスは2つ。浮気されたほうの立場から、それぞれのゴールを設定しようといふことでした。夫が浮気をした場合なら、妻が2つのゴールを設定するのです。
夫についてのゴールは「妻と一緒にゐたいと思はせる」。妻自身のゴールは「夫の浮気が気にならない状態になる」といふものです。
このゴール設定の奥には人間性についての深い洞察があると感じて紹介しました。しかし記事を書いた後もづつと考へてみると、こゝにはさらに深い問題が潜んでゐるやうな気がしてきたのです。
浮気の相談も、それに対するアドバイスも、
「結婚したから、2人は夫婦である」
といふ前提に立つてゐます。
そして、夫婦はなるべくなら別れないほうがいゝ。別れてしまふと、お互いに傷つくし、生活上の支障も出るし、子どもたちにとつても良いことではない。
だから別れないで済む良い方法があるなら、何とかそれを模索してみよう。夫婦の関係とか家庭の形とかいふものをより幸福なものに戻さうといふ現実的な試みです。
その試みは、もちろん大切なことなのですが、こゝでもう一層深い問題を考へてみたい。
「人間の『愛』といふものから考へて、結婚とか離婚などには、そもそもどういふ意味があるのか」
といふことです。
冒頭に引用した神の言葉によると、愛は「無制限」で「自由」なものだといふ。「誰それは愛してもいゝが、別の誰それは愛してはいけない」といふやうな制限は、愛にはない。それが愛の本質だといふのです。
愛がさういふものであるなら、結婚といふ制度は愛の本質に反するものであるやうに思へる。愛すべき相手を1人に限定する結婚がうまくいかないことなど、初めから分かつてゐることではないでせうか。それで実際、結婚の2割から5割は途中で破綻する。
愛について、もう少し考へてみませう。愛は「無制限」で「自由」なものであると同時に、「独特なものへの独特な対応」でもあります。
私(男)がAさんといふ女性と結婚する。私がAさんに示せる愛は唯一無二です。なぜなら私といふ人間も唯一独特であり、Aさんも唯一独特だからです。こゝで私がもしBさんといふ女性を愛そうとすれば、私の愛はAさんへの愛とは、決して同じではない。
つまり、私がAさんを愛するといふ体験とBさんを愛するといふ体験は、まつたく別の体験です。愛は「無制限」で「自由」なら、私がBさんへの愛も体験したいと思つたとしても、誰かが制限できるものではない。
ところが、こんなことを言つたら、愛の秩序は崩壊する。結婚といふ制度は有名無実化し、エロスコミューンのやうな世界が現出しさうです。
それが神の創造の構想でせうか。決してそんなはずはない。結婚といふ制度は本来有効な制度であり、愛の「無制限」性と「自由」性を阻害するものではないと思ふ。
確かに結婚は、1人の男性と1人の女性の愛の関係を約束させるものです。一見すると、愛を制限し、自由を縛るやうにも見えます。
しかし、結婚は愛の関係を「約束させられる」ものではなく、「約束する」ものです。しかもその約束は、結婚するときにだけする1回限りのものではない。何度でも約束し直す、自由な選択なのです。その意味で、結婚は愛の「無制限」性も「自由」性も阻害しない。
夫が浮気をした夫婦の例に戻つてみませう。
夫の浮気が発覚して、夫婦関係破綻の危機を迎へる。そのとき、妻の側で見れば、結婚を通して愛を永遠化するといふ結婚時の約束の見直しを迫られる。つまり、結婚を維持するか手放すかの選択を迫られるのです。
この選択は自由です。ただ、手放す選択をしようとすると、特定の宗教は咎めるかも知れない。また社会の通念が咎める場合もあるでせう。しかし神は咎めない。
但し、選択をするとき、私(妻)が必ず考へるべきことが一つある。
「この男性との結婚といふ経験を通して、私は一体どんな人間にならうとしてゐるのか」
といふことです。
自由な選択はつねに、私がどんな人間になるかの選択なのです。「独特なものへの独特な対応」と「無制限」「自由」を愛の中で調和させるかどうかの自由選択なのです。

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