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まるくまーる(旧・教育部長の講義日記)

物語を書き換へる①「苦痛を甘受する」

2021/05/19
信仰で生きる 0
聖書 原理講論
ヨブ

私の脳の中の「虚構の世界」を形作る「物語」を書き換へることができれば、私の意識が変はるのではないかと考へました。(「虚構世界で悩む人」「Aさんは現実の人なのか」参照)

どのやうにして書き換へることが可能か。これまでに私が学び、また実践してきた方法があります。それについてはこのブログでも繰り返し書いてきました。方法論として整理し、改めて考へてみませう。

方法論は主に2つです。

① 苦痛を甘受する
② 潜在意識の記憶を消去する

この2つはまつたく別のものではありません。相互補完的に関連しており、2つを理解することで、我々の人生をより深く洞察することができると思つてゐます。

まづ、第一の方法論について概説しませう。これは『原理講論』の「復活論」で説明されてゐる方法論です。

我々はすべて、自分自身あるいは先祖が犯した罪を背負つてゐる。神は我々にできるだけ大きな恩恵を与へたいと思つておられるが、我々の罪がそれを妨げてゐる。そこで神は、その罪を清算させようとなさり、一つの方法を考案された。

神は霊界の悪霊人を選んで私のもとに送られる。悪霊人が来ると、私に苦痛が起こる。このとき私がこの苦痛を甘受すれば、神はそれを蕩減条件として罪が清算されたと見做し、清算された分に該当する恩恵を与へることができる。

ここで、苦痛が起こる仕組みには、2つある。一つは、悪霊人が直接私に苦痛を与へる方法。もう一つは、悪霊人が誰か別の地上人に働き、その地上人が私に苦痛を与へるといふ方法です。

この方法を分かり易い実例として教へてゐる最も有名な物語が、旧約聖書の「ヨブ記」でせう。

彼は神を信じ、敬つて生きてゐる。それで彼は神に愛され、健康であり、家族に恵まれ、財産も増える。ところがあるとき、サタン(悪魔)が神に注文をつけるのです。

「彼があなたを信じ従ふのは、あなたが彼を愛して恩恵を与へてゐるからかも知れない。一度彼のすべてを奪つてみてもいゝですか。それでも彼が信仰を失はないかどうか見てみませう」

神がそれを承諾されたので、サタンはヨブを訪ねて、彼の恩恵を一つづつ奪つていく。家畜が次々に死に、最愛の者が死に、ヨブ自身は全身にできものができて七転八倒する。

最初に妻が神を呪ひ始める。
「神がこんなひどい方なら、信じるのはもうやめて死んだほうがましぢやないですか」
と絶望的に訴える。

しかしヨブは
「神から幸福をいただいたのなら、不幸もいただかうではないか」
と答へ、神を呪ふ言葉を一切口にしなかつた。

続いて3人の友人が訪ねてくる。目の前で苦痛に呻くヨブを見ながらも、「結局これほどにお前が苦しむのは、神の前に何か悪を為したからではないか」といふ議論となる。しかしヨブは「私には何一つ身に覚えがない」と主張するのです。

ヨブの口から神を呪ふ一切の言葉が出ないのを見て、サタンは引き下がる。するとヨブは再び健康を取り戻し、財産も急速に回復する。


これがヨブ記のあらすじです。

ヨブのもとにサタンが直接やつて来て、苦痛を与へる。これは苦痛が起こる第一の仕組みです。ヨブの物語は、我々が人生で体験するさまざまな苦痛に対する非常に深い洞察を含んでゐます。

悪霊人が直接作用するにせよ、誰かを通して間接的に働くにせよ、我々の目にはそれは見えない。見えるのはただ、私が今現に体験してゐる苦痛だけです。

神が本当に悪霊人を私に送るなどといふことがあるのか。あるとしてもどんな悪霊人を選んで送るのか。そんなことは私には分からない。私にできるのはただ、今自分が体験してゐる「苦痛」をどのやうに処理するか。それだけです。

そのときのキーワードが「甘受」だと「復活論」は言ふ。それだけが罪を清算して我々をより高次の恩恵圏に引き上げる方法だと言ふのです。

ここには背景に大きなフレームワークがあります。

まづ、この世界の主人として神が存在する。その神は我々人間に可能な限り最高の恩恵(祝福)を与へようと考へる父母の心情の所有者である。

ところが我々にはさういふ神の意図を阻害する罪が存在する。その罪を取り除く責任は我々自身にあるため、神はそれができる環境を準備なさる。その中心が「苦痛」です。

かういふフレームワークの中で
「あなたはこの苦痛を甘受できるか」
といふ課題が与へられるのです。

我々が五感で分かる次元の生活をしてゐるなら、この課題は極めて難しい。だから苦痛の背景を知らせることで、課題を解く手助けをする。これが「復活論」の意図するところだと言へます。

次は、この「苦痛」の中身を、もう少し具体的に考へてみます。

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