最初はちよつと逃げてましたね
毎月1回、おばあちゃんがお世話になつてゐるデイサービス施設の担当ケアマネさんと打ち合はせをする日があります。
先日打ち合はせをしてゐるとき、
「最初の頃、ちょつと逃げてゐましたよね」
と、ぐぐつと深く指摘されました。
「最初の頃」とは、2回目の退院直後のことです。
昨年の暮れに脳梗塞を発症して緊急入院した。1ヶ月後、予想以上の回復を見せて退院。尤も回復したとは言へ、認知症の度合いはさらに進んだ。
以前は排尿排便、絶対にオムツにはしなかつた。トイレでするものといふ習慣認知がしつかり残つてゐるから、昼でも夜でも出たくなれば助けを求めて「トイレ~」と声をあげてゐたのです。
そのお蔭で、夜でも昼でもだいたい2時間おきには呼ばれて、ベッドに駆けつける。私も慢性的な睡眠不足に悩まされました。
ところが脳梗塞の退院後、トイレでの排尿排便といふ感覚が9割がたなくなつた。何時間でもよく寝る代はり、寝たままで用を済ませてしまふのです。
それで2時間おきの対応は不要になつた反面、別の問題が生じた。オムツに尿や便が溜まつて臭ふ。オムツを交換しようと、ベッドからトイレへの移動を促すと、ここで激しい抵抗を見せる。
布団をはぐると「寒い!」と叫んで抵抗する。起き上がらせようとすると、「(腰が)痛い!」と叫んで抵抗する。「おしっこなんかしたくない!」と叫ぶ。
以前なら、本人が行きたいと言ふのを助けるだけでよかつた。ところが退院後は、行きたくないと言ふのを無理やり行かせなくてはならない。これが私には精神的にきつかつたのです。
退院後しばらくは毎日訪問看護師に来てもらつた。さすがプロですから、多少の抵抗は想定内。ささつとトイレに座らせて、オムツを交換する。
有り難いなあと思ひながら、
「こんなやり方を今後続けていけるかなあ」
と、私は何度か弱音を吐いたのです。
さういふのがケアマネさんにも伝はつた。それであの指摘が出てきたのです。
確かに自信がなかつた。弱音を吐いた。
「でも、最近の様子を見てると、だいぶ肚が据はつてきたみたいですね」
とも評されたのです。
自宅で看る限りは、もうやるしかない。
うまい具合にトイレでおしつこをしたときは、陰部を拭いてあげる。(以前は本人がやつてゐた)ウンチをしたときは、お尻を拭いてあげる。(これも以前は本人がやつてゐた)オムツから漏れてシーツが汚れたら、ささつと外してすぐに洗ふ。
しかし無理はしない。入院中は1日に4回から5回、オムツを交換してゐたのですが、今は朝と夕方の2回しかしない。それ以上は、あの抵抗に耐えきれないから。
さういふ私の対応を確認した上で、ケアマネさんは
「肚が据はつてきたみたい」
と評価してくれたのです。

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