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まるくまーる(旧・教育部長の講義日記)

分断を作り出す人

2020/11/06
世の中を看る 0


4年前に出てきたときには、まさかまさかの大統領。メキシコとの国境に延々高い壁を作るなど、破天荒な政策を提案するので、「これは一体どんな思想の持ち主か」と訝つたものです。それがトランプ大統領。

しかしその後の政策遂行行動を見てゐると、だんだんと「なかなかやるぢやない。結構まともぢやない」といふ感じで、好ましく思へてきたのです。

自らは大統領としての公費を受け取らない。大幅減税を実行して景気は好調に成長。独裁中国には毅然とした態度。そして、一度も大規模な戦争を起こしてゐない。

トランプ再選が望ましいなあと思つて、ついつい「再選ほぼ確実」と謳ふニュースや解説ばかりに目が行く。90%は再選確実といふ論者もゐるので、心強いなと思ふ。

ところが、開票が進むとともに大変な接戦となり、バイデン陣営との対立が一層激化してきました。トランプ陣営は郵便投票をやめるべきだと言ひ、バイデン陣営はそれは国民の神聖な政治参加だと主張する。訴訟も起こす。両陣営の支援者たちがぶつかる場面も映し出される。

「トランプ大統領は米国の分断を助長した」
といふバイデン陣営からの批判もよく聞きます。

国の指導者が国民を分断し、対立を深めた。指導者のせいで国民は分断の苦しみを受けてゐる。さう言ふ訳ですが、本当にさうだらうか。どうも違ふやうな気がします。

私自身のことを分析してみても、トランプ大統領が好ましいと思ふやうになると、大統領の好評価ばかりを見るやうになり、反対にバイデン氏のはうは問題点ばかりが目につくやうになる。実のところ、分断はまづ最初に「私」の中で起こつてゐるのです。

国民は指導者の施策によつて分断されるのではない。国民各自がその内面において分断を内包するので、それに従つて、国民全体が甲に就くのか乙に就くのかに分かれていく。それが真実ではないでせうか。

確かに指導者の影響力は大きい。しかも現代社会においては、マスコミがどちらかに偏してフィルターのかかつた情報を流すことが多いやうにも思へる。情報の多寡によつて正邪を判断するやうにもなりやすいでせう。

それでもしかし、分断の端緒は間違ひなく「私」の中にある。それを自覚してみれば、見える世界が違つてくるやうに思へます。

一方を好み、そちらが正しいと思ひ始めると、どうなるか。私自身がさうであつたやうに、好ましい側の好ましいと思へる情報を集めると同時に、好ましくないと思ふ側の好ましくない情報をも一生懸命集めるやうになる。

好ましくない側がいかに邪(よこしま)であるか。それを明らかにしてくれるやうな情報は、「私」にはとても甘味で魅力的なのです。さういふ情報が増えれば増えるほど、私がそれを嫌ふ理由の根拠が強固になり、正当化されるやうになるからです。

そのやうになれば、私の眼前には誰か影響力のある者の力によつて「分断された世界」が展開されてゐるやうに見える。しかし実のところ、それは「分断された自分の内面」が投影された世界を見てゐると言つてもいいのです。

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