怖れの社会
『happy money』(本田健)は1年ほど前に買つて読み、一つだけ記事を書いたことがあります。(「才能がその姿を現すとき」)
一度通読して、「あまりぱっとしない。よく言はれることが書いてある」といふのが、正直な印象でした。ところが最近、ある切つ掛けで久しぶりに本棚から取り出して読んでみると、「なるほどなあ」と思ふことがいくつもあるのです。不思議ですね。
例へば、かういふ件があります。
残念ながら、私たちの現在の経済のシステムは、怖れがベースになっています。それは、私たちの社会が怖れがベースでできているからです。教育システムや職場、そしてひょっとしたら家庭生活も…。(89) |
私自身、冷静に心の内を観察してみると、確かにさまざまな怖れがあることに気づきます。
まづ、お金に関する怖れ。かなり強い執着があります。財布から出ていくお金に未練が強い。
「どうして税金がこんなに高いのだらう」
「ここで支払ふと、残高はいくらに減るだらう」
「これを買つて、あとで後悔しないだらうか」
さういふ不満や不安がしばしば湧いてきます。なぜだらう。本田さんが言ふ通り、怖れがベースになつてゐるこの社会にすつかり組み込まれて生きてきたからだらうか。
この怖れといふもの、しかし、普段は自覚も意識もしないのです。自覚しないままにお金と生きてゐます。
お金だけではない。すべての人間関係に「怖れ」が密かに入り込んでゐるやうに思ひます。
「誰かが自分を傷つけるのではないか」
「この人が自分から離れて行つてしまふのではないか」
得体の知れない「怖れ」が我々の潜在意識の中に潜んでゐます。自分でも気がつかない、深い感情ですね。

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