最高度に知的な仕事
昨日の記事「AIは『意味』を理解しない」で書き忘れた一つのポイントを追記しておきたい。
新井さんは
「少し横道に逸れますが」
と言つて触れてゐるのですが、私なりにはかなり重要と思へるポイントです。
「AIが絶対に代替できない仕事の多くは、女性が担つてゐる仕事」
といふ事実。
その代表例を挙げれば、「介護」と「育児」がそれです。
この2つをなぜ女性が主に担つてきたかと言ふと、それらが最高度に知的な労働だからです。
反対に、これまで男性が専ら担つてきた「狩猟的」な仕事はGPSと物体検出を搭載したドローンで代替できる。
さういふ分野の多くの仕事は、今後AIにどんどん奪はれていく可能性があります。
しかし「介護」とか「育児」特に「育児」は、AIでは絶対に代替できない。
「育児」も保育所に任せれば仕事といふ感じですが、お母さんが担当すれば、普通には仕事と見做されない。
しかし実は、これほど高度な知的労働であり、且つ我々の社会全体にとつて重要な価値のある仕事はない。
この仕事を主に女性が担つてきてゐるといふのは、女性にはAIなどが逆立ちしても真似のできない極めて柔軟で豊かな能力があるからです。
この能力は明らかに、新井さんが言ふところの「意味」を理解する能力であり、「読解力」でもあります。
言葉をまだ話せない幼い子どものちょつとした表情の変化を読んで、今この子が何をほしがつてゐるのかを即座に理解する。
仕草や態度の変化で、今日学校でどんなことがあつたかを的確に推察する。
どのやうに接してあげれば子どもは満足するかを直観できる。
これが女性の持つ「読解力」です。
もしかして、ある女性は中学校の教科書を正確に「読解」できなかつたかも知れない。
しかし、子どもの表情や仕草は極めて精緻に「読解」できる。
これが、女性が生まれながらに持ち合はせてゐる貴重な能力です。
AIが登場するまで、この女性の能力は意識的にはあまり高く評価されてこなかつた。
評価されたのは、男性が得意とする「狩猟的」な仕事でした。
それが直接の富を生み出すやうに見えたからでせう。
しかし今後AIが普及していけば、どの仕事が本当に人間にしかできない希少な仕事なのかといふことが明らかになつていくでせう。

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