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まるくまーる(旧・教育部長の講義日記)

災難をのがるる妙法

2010/05/29
世の中を看る 0
地震

ニュースを見ていると、政府の地震調査委員会かどこかの発表による地震発生確率なるものが報道されていました。

東海地方辺りでは、今後30年以内にマグニチュード8程度の自身が起きる確率が、なんと!86%
こんな発表を聞いては、地元の人達はさぞ気味が悪いことでしょう。

他の地域はどうなんだろうと思い、ネットで調べてみると、もっと恐ろしいところもありました。
宮城沖などは、マグニチュード7.5から8程度が、なんと99%!です。

地震と言えば、10年余り前、阪神大震災を体験した中年男性と話していた時のこと。
その男性が、自分のその時の体験を話し始めてしばらくすると、ふいに泣き出したのです。
社会の荒波も体験し、会社では何十人もの部下を使うその大の男が人前で泣くほどですから、これはよほど恐ろしい体験だったのだろうと、間接的に大地震の驚異を感じたことがあります。

高確率の地震予想などが出されれば、体験者には切実に感じられるかも知れません。
しかし、実体験のない私などには、どうも遠い人ごとのように感じられます。

それに、理科系に疎い私には、この「確率」というのが今ひとつよく分かりません。
「30年以内に99%」ということは、今から29年後くらいに起こるかも知れないし、ひょっとすると明日起こるかも知れないということでしょう。
ともかく99%ということは、(なぜ100%ではないのか分かりませんが)30年以内にほぼ確実に1回は大地震が起こるという警告と理解していいのでしょうか。

しかし、(震災経験者は別かも知れませんが)29年後に起こる地震に対して今から避難具を買い揃え、非常食糧を備蓄しようとする人がいるとは思えません。
また一方、明日起こるかも知れないと、急いでスーパーに缶詰を買いに走る人も、おそらくほぼ皆無でしょう。
確率の低い山形盆地への引越しを本気で考える人もいないと思います。

人間は、呑気といえば、呑気なのか。
暗い未来は誰でも予想したくないので、あえて目をつむろうとする無意識でも働くのでしょうか。

神様が造った世界に、どうして地震などというものがあって、しょっちゅう大勢の人が死ぬのか、私はその理由を知りません。
ただ、どんなに防災しても、来るものは来るのですから、人間はそれをくぐり抜けて、生き残れれば生き続け、そこで死ねば諦めるしかないのが人間の限界です。

大地震で町が焦土の瓦礫と化しても、生き残った人たちは、その瓦礫を踏み越えて水を汲みに行く。
雨露をしのぐためにテントを張り、自治組織を作り、食糧を分配し、やがては再開した会社へ出勤する。

何もかもが地震で壊れる前とそっくり同じことが始まるのです。

良寛さんの手紙に、こんな文句があります。

災難に遭う時節には、災難に遭うがよく候 死ぬ時節には死ぬがよく候 是はこれ災難をのがるる妙法

呑気といえば、これもまた実に呑気。
地震がくるときには、人が何をしようと来るし、死ぬときには、どんなにもがいても死ぬしかない。
だから防災準備など何の役に立つのか。

良寛さんが地震調査委員会の長にでもなれば、確率の数字など一切出さず、上の文句を掲げるのでしょう。
人をバカにした文句のようでもありますが、さて、

30年以内に大地震の起こる確率が99%

というのと、果たしてどちらが役に立つ情報なのか?

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