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まるくまーる(旧・教育部長の講義日記)

いづれ世界人口は横ばいになる

2019/12/30
読書三昧 0

前回の記事「誰がアフリカを導くのか」で紹介した『FACTFULNESS』の第3章
「世界の人口はひたすら増え続けるという思い込み」。

その中で
「どうして、いづれ人口は横ばいになるのか」
といふ設問があります。

現在約70億の人口は今後も60年間ほど増え続け、110億に達すると推計されてゐます。
しかしそこまで行くと、それ以上人口は増えなくなる。

増える理由は、子どもの数が増えるからではなく、大人の数が増えるからです。
人口が横ばいになるといふことは、「子どもから大人になる人の数」が常に一定になるといふことです。

これと似たことは、実は西暦1800年以前にも起きてゐました。

これを著者は
自然と調和しながら人が死んでゐたからだ
と言ふ。

1800年ごろまで世界の人口は非常にゆるかな増加曲線を描いてゐたのに、1900年ごろから放物線を描くやうに急速に増え始めた。
過去100年余りの期間は、「自然との調和がずれる」特殊な、人類史上稀な期間だつたのです。

どういふことでせうか。

1800年までは女性一人当たりの子どもの数が平均6人。
当たり前なら人口は増えるはずですが、増えない。
なぜかと言ふと、6人の子どもの内4人は大人になれずに死んだからです。

ところが1800年以降1965年まで、女性1人当たり5人以上の子どもを生み続けながら、その一方で子どもの死亡率が下がつていつた。
極度の貧困が克服され、医療技術が向上したからです。
これが人口急増の理由です。

1965年以降出生率は急速に低下し、2017年時点で女性1人当たりの子どもの数は2.5人になつてゐます。
それでも人口が増え続けたのは、生まれたその2.5人がほとんど死なずに大人になれたからです。

これを著者は
人は自然と調和しながら生きられるやうになつた
と表現します。

日本も含め先進国から出生率は確実に低下する。
それは自然なことです。

2人の子ども生んでその2人ともが無事大人になるのなら、夫婦は4人5人と生まないで2人にできるだけ豊かな教育を施したいと考へる。
勿論、さうでない人もゐるし、それもまた貴重です。
いづれにせよ親は自らの判断で子どもの数を調整するのです。

それぞれの夫婦が世界人口の増減を考慮しながら自分たちの子どもの数を考へたりはしない。
しかし個々の夫婦が謂はば直観的に読み取る時代感覚は的を外してはゐないのでせう。

「少子高齢化」
といふフレーズのもと、日本の人口減少を懸念するのが普通で、そのための政治的社会的施策を施さうとするのですが、あまり意味(実効)はないやうな気がします。

生みたくなければ生まないし、生みたくなれば生むやうになるでせう。
さまざまな施策は人間が大脳皮質(表層意識)で考へることで、生むか生まないかは個々の男女の深層意識に左右される。

本当に懸念すべきは非婚率が高くなることではないでせうか。
これは単に人口が増えるか減るかの問題ではなく、結婚、夫婦生活、家庭生活といふものを通して一人一人が親は親なりに、子どもは子どもなりに愛による幸福を体験できるかどうかの本質的な問題です。

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