ブータンの村には何もない
ローカル局が作つた番組だつたかも知れない。
地方の高校で実践した教育方法が参考になるのではないかと、ブータン王国に生徒と先生が出かけて授業伝授するといふ活動が紹介されてゐました。
地方の高校といふのは、島根県隠岐の島前高等学校。
松江の沖合60㎞に浮かぶ島で、昔は後鳥羽上皇が島流しになつて滞在されたこともあります。
しかし歴史はありながらも、何せ離島。
高校卒業とともに若者はどんどんと島を出るし、高校さえ島前高校に進むのはわずか45%前後でした。
ジリ貧になつていたところへ、発想の転換をした。
何もない離島なら、何もないことを売りにしよう。
「島留学」
をキャッチコピーに全国から留学生を募集した。
そして教育のキャッチフレーズは
「自分で考へる教育」
いろいろなチャレンジ・プロジェクトを実施した結果、全国から留学生が集まるし、地元の進学率も80%超へとⅤ字回復。
そしてそこで培つた教育方法を、同じく人口流出に悩むブータンのチュカ県に持つて行つて役立ててもらはうといふ取り組みを番組として放映したのです。
ブータンと言へば
「世界一幸福度の高い国」
として有名です。
ところがチュカ県の山間の高校生たちに地元の評価を尋ねると、
「この町には人を惹きつけるやうな魅力が何もない」
「この町に生まれてよかつたとは言ひにくい」
「霧の出る日が多くて、見通しが悪く生活しにくい」
など、あまり幸福さうな答へが返つてこない。
そこで合同授業を始める。
「この町にはどんな魅力があるか」
「国内国外から観光客を呼び込む観光資源が何かあるか」
そんなことを日本人高校生とブータン高校生が互ひに拙い英語で話し合ふ。
しかし話し合ふだけでは良いアイデアが出ない。
とにかく外に出て、町の中をもう一度見回してみようといふことになります。
出てみると、その日もかなり深い霧が立ち込めてゐる。
ところが改めてその霧の中を歩いてゐると、この霧が意外といいのではないかといふ発見をする。
「霧つて、改めて見ると幻想的で外から来る人には魅力的かも」
さういふ発想が出てくるのです。
学校へ帰つて来ると、
「生活の妨げになると思つてきた霧をどんなふうに宣伝すれば観光資源になるか」
といふ話し合ひになります。
番組最後のインタビューに答へて地元高校生たちは、
「つまらない、役に立たない、生活の妨げになると思つてきたものが、違ふ目で見直してみると、魅力的で価値あるものに見えてくる。新鮮な驚きでした」
といふやうな感想を述べてゐる。
「本当にさうだな」
と思ひます。
「自分には特別な才能も能力もない」
「自分には解決すべき課題が多い」
そんなふうに思つてゐる人なら、さう言ふ人こそむしろ大きなチャンスが潜んでゐるかも知れない。
才能も能力もあり順風満帆で生きてゐるなら、そのままでいけばいいのですが、自分に自信がなく課題が多いと思つてゐる人は、見方さへ変へれば神様から自分の隠れてゐる魅力と価値を見つけるチャンスを与へられてゐる。

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