おバカは体全体で生きている
普段はほとんど観たことがないが、縁あって、2年半ほども前に放映された『さんま御殿』をyoutubeで観ました。
この日のタイトルは
「東大・京大のインテリがおバカと激突!』
頭の良さで対極に位置する2つのグループを集めて、その対照性を際立たせ、テレビ映えする番組を作る。
今どきのテレビではよくある企画かも知れない。
2つのグループは、あまりにも持っている世界が違う。
そのまま置いても交流は始まらないので、2つをつなぐ司会が重要な役を果たす。
さんまがそれを見事に果たしているのを見ると、インテリとは違う意味で頭がすごく切れる。
人気のある理由がよく分かります。
観てみると、確かに相当面白い。
しかもはるかに面白いのは、どう考えても「おバカ」グループなのです。
「おバカ」グループは、マッキンゼーも知らない、ハーバード(大学)も知らない。
感心するような知識もないし、奧妙な人生観もない。
何が面白いかと言えば、その表現力。
その表現力という点から見れば、エリートグループでは女医の西川史子が率直さで魅力を感じさせる程度で、大学教授の斎藤孝やロバート・キャンベルなどの話は、ちっとも面白みがない。
反対に「おバカ」グループのりゅうちぇるや滝沢カレンの話は抜群に面白い。
自分の体験をいかに上手く表現するかという、その表現力が実に卓越しているのです。
例えば、りゅうちぇるがアナログの時計では時間を読めないという話をするのに、何が難しいのかを説明するその仕方を聞くと、とても巧みです。
聞く者を圧倒的に惹きつける。
その点を見る限り、決して「バカ」とは思えません。
言葉だけではない。
話をしながら変幻自在に変わる表情、手や指の動きなど、総合的に体全体で表現する。
その表現力たるや、件の大学教授などその足元にも及ばない。
もちろん大学教授や医者なら、彼らの土俵でその実力を発揮するでしょう。
「おバカ」グループが総合的に優秀だとは言えない。
エリートグループにも深刻な弱点がある。
「自分は頭が良い」
というプライドを捨てられないくせに、そのプライドを率直に誇れない。
特に女性は、自分よりも頭の悪い(というのは学歴の低い)男性と結婚できない。
結婚しても、相手の男性が自分で勝手に「妻から見下されている」と思うので、うまくいかない。
(これはマッキンゼー出身者、勝間和代の見立て)
それで結婚できない西川史子は涙ぐむのです。
一方、滝沢カレンは
「結婚するならどんな男性がいいか」
と聞かれて、
「第一に、足が速い人、第二に運転免許を持っている人」
と答える。
そんな男ならごまんといるのに、なぜかカレンは「これ」という人に出会えない。
それは不思議だが、彼女の答えは欲がなくて、とても好ましい。
その2つを基準に選んで結婚出来れば、案外その男性は料理もうまく、優しかったりもするかも知れない。
「おバカ」グループの実人生がどんなものかは知らないながら、
「なんだか彼らのほうが、より幸せに生きているなあ」
という感じがします。
エリートは頭で生きている。
おバカは体全体で生きている。
彼らの表現力がどれほどのものかは、この映像をご覧いただくに如くはありません。

にほんブログ村
- 関連記事
-
-
麻生名演説「これが、最高のクール・ジャパンだ」 2014/06/17
-
どうしてこんなニュースを観るのか 2021/03/19
-
堕落性の透かし絵 2010/06/06
-
コウノトリさんの教え 2010/08/21
-
スポンサーサイト