恩恵をどんなふうに分けてあげようと思うの?
礼拝後、一人の青年が
「相談したいことがあります」
と言うので、コメダでクリームソーダとシロノワールをおごりながら話を聴きました。
私の娘より3歳年下なので、私は勝手に「私の3人目の娘」と思っている。
自分を磨こうと熱心に努力する真面目な女の子です。
それでこの年末にも上級の修錬会に参加しようとしている。
しかしそのレベルが高いための不安もある。
その辺の相談をしたいというのですが、参加することはもう決めているのです。
何かアドバイスがほしいというより、自分の気持ちを整理したいというような感じだろう。
そう踏んで、なるべく安易にアドバイスを与えないようにしようというスタンスで臨みました。
大体、私は一方的にアドバイスを与えたくない。
そもそもそれほど内容のある人間でもないし、どうも人からもらったアドバイスというのはあまり役には立たないと思うのです。
もちろん、悩んでなかなか答えが見つからないようなときにもらうアドバイスが一つの天啓的なヒントになることはあり得るでしょう。
しかしそういうアドバイスでも、結局はそれを自分の中で十分に消化できないと継続的な力にはならない。
一方的に上から与えるアドバイスは却って害になる恐れさえある。
そんなふうに思っています。
彼女が言うには、
「これまでも修錬会に出てくると、とてもハイになる。帰ってくると自分が受けた恩恵を誰かに分けてあげたいと思うけど、うまくあげられないことが多い。それにハイの状態は大抵あっという間に下がってしまうんです」
私はちょっと考えて、
「恩恵をどんなふうに分けてあげようとするの?」
と聞いてみます。
「修錬会で書いたノートを見せながら『こんな素晴らしい内容があった』と伝えて上げたり…あとはこれまで以上に何か親身に助けてあげたり…」
恩恵を分けてあげたいという気持ちは、よく分かります。
しかし、何をどのように分けてあげるのがいいか。
それは難しい問題で、よく考えないといけないことだと思います。
「修錬会でいろいろな恩恵を受けたと感じたら、それを誰かに分けてあげたいと思うのは自然なことだね。しかし、往々にして『言葉』を手段にする場合が多いように思うけど、それは良い方法なんだろうか」
「もちろん言葉で伝えようとすることもあるし、それ以外にも、何か自分の行動で伝えることもできると思いますけど…」
私自身、昔からさまざまな修錬会に参加してきたし、牧会者時代には頻繁に責任者会議にも参加した。
参加して帰ってくる度に、受けた恩恵を伝えようとしてきた。
「自分はこういうことを悟った。全国にはこういう証があった」
それで恩恵を分けて上げたように思い、責任者としての責任もそれなりに果たしたとも思っていた。
しかし今頃になって考えてみると、何だかとても虚しい気がするのです。
そんなことでは本当に恩恵を分けたことにはならないし、責任を果たしたとも言えない。
考え方を再検討してみないといけないと思うのです。
私が恩恵を受けたとすれば、植物に例えた時、それは一種の栄養素をもらったということです。
しかし自分がもらった栄養素をそのまま他のものに分けてあげることはできない。
栄養をもらった植物はそれを元手に成長し、美しい花を咲かせる。
花が咲けば、ぱっと目立つようになるし、麗しい香りを放つようになる。
そうなれば、何も言わずとも虫が寄って来るし、人が手折って飾ってくれるようになるのです。
この例えによって考えれば、私が受けた恩恵を分けてあげる最良の方法は、私が花を咲かせ、実を実らせることだ。
その花の香りをかがせてあげ、実を食べさせてあげる。
私という存在自体が「恩恵」になるのです。
恩恵は伝えてあげるものではなく、私自身が恩恵の実体になることが恩恵の本質だ。
しかし、これまでそのようにはあまり考えてこなかったように思います。
この問題は、原理の言う「信仰基台」をどのようなものと考えるかということとも直結します。
さまざまな精誠条件を立てる、一生懸命み言葉を学ぶ、そのために繰り返し修錬会に参加する。
そういうことは何のためにするのか。
そういうことを通して、どんな結果を手に入れようとするのか。
アドバイスはなるべくしないと思いながら、日頃考えているこんな話を少しだけしました。
すぐには理解してもらえないかも知れない。
しかし、私は彼女と話しながら、少なくとも一方通行ではなく、私自身も彼女からいくつもアドバイスをもらったような気がします。
それが嬉しいことです。
3人目の娘と面と向かって話せた喜びがあります。

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