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教育部長の講義日記

家庭連合の教育部長として、統一原理を講義し、思索する日々

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正常性バイアスは克服しがたい

20181001

社会心理学や災害心理学で使われる
正常性バイアス
という用語があるのを、「
なぜ逃げない?」という記事で知りました。

水害、地震、津波、火災などの危険が目前に迫っていても、日常生活の延長線上の出来事だと判断し、「自分は大丈夫」「まだ安全」などと思い込んでしまう人間の心理的な傾向を指します。

昨今の日本では、地震、台風、大雨などが途切れなく襲ってきています。
気象庁は何とかより早い避難を呼びかけようと「特別警報」を矢継ぎ早に発表し、記者会見まで開く。
特別警報とは、数十年に一度の重大な災害が予想される場合に出されるものです。

それを受けてテレビのニュースは、
「西日本で経験したことのないような豪雨が襲う」
などと繰り返し報じる。

ところが、そこまでしても避難する人は少数にとどまる。
例えば、先の西日本豪雨の際、広島市安佐北区で避難所に身を寄せたのは全世帯の5%強。
また、倉敷市真備町では、亡くなった人のうち約8割が屋内で発見された。
逃げ遅れて溺死した人が多かったとみられます。

なぜこのように警報に対して反応が鈍いのかというと、
「我々の地域では大きな堤防も建設されているし、川上にはダムもある」
と思っているからです。

これを
「正常性バイアス」
というわけです。

インフラがより強固に、より高くなればなるほど、住民の正常性バイアスも固まってしまう。

どうも人間というのは、直接に差し迫ってくる危険に対しては恐怖心が起こって対応するが、間接的な危険予測に対しては反応しないようになっているようです。

気象庁は情報の精度を高め、報道番組は脅すような表現まで多用する。
それが避難行動を促すだろうと思ったのに、どうもこの方法は思ったほど効果的ではないのです。
人間のこの意識、バイアスを変えるのはかなり難しい。

何かもっと効果的な方法はないのか。
代案のヒントになりそうなのが「広告医学」というものです。

例えば、生活習慣病予備軍のような人たち。
こういう人にいくら健診を呼びかけても、反応は鈍く、腰が重い。
そこで、次のような工夫をしてみる。

「上りたくなる階段」
「運動したくなるTシャツ」
「待ち時間が短く感じる病院の待合室」

このようなものを巧みに準備すれば、予備軍たちも知らず知らずに乗せられてしまうのではないか。
こういう実験がすでに始まっているようです。

これを防災に応用してみれば、
「避難したくなる避難所」
を作る。

現状の避難所は昔から変わらず、体育館や集会所など。
冷暖房もないし、炊事もできない、プライベートも確保できない。
こんなところには誰だって避難したくはないのです。

そこで、ある自治体ではこんな試案も作っている。
「台風が近づいたら、孫と過ごす日にする」
「ハザードマップで危険地域の住人には格安でホテルを提供する」
「映画館で無料で映画を見て一夜を過ごす」

これはなかなか面白いアイデアです。
避難住民をどれだけ収容できるかが問題ですが、発想の転換が必要なのだと教えられます。

ところで、今の教会も生活習慣病予備軍があまり行く気にならない病院、あるいは快適な家を捨ててまで敢えて行きたくない避難所に似ているかも知れない。

多くの人は「差し迫った直接的な危機」には遭遇していない。

その人たちを呼び出して、
「あなた(の家庭)にはこういう問題が起こり得ますよ」
と、精度の高い原理を使っていくら説得しようとしても、間接的な予測情報には人は反応しない。

そうであれば、ここは発想を変えて、差し迫った問題に遭遇していない人でも我知らずやって来てみたくなるような教会を作るほうに力を注ぐのがいいかも知れない。

「聞いてみたくなる講義」
を工夫するのもいいが、
「簡単には講義してあげない教会」

「教えてあげる教会」
ではなく、
「徹底的に聞いてあげる教会」

こんなのでは、まだまだダメかな。

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