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まるくまーる(旧・教育部長の講義日記)

「助け舟」を出せる社会

2018/07/29
世の中を看る 1
20180729

地球が形成されたのが、今からおよそ46億年前と言われる。
それから約8億年が経過して、38億年前に生命が誕生。
しかしこの時の生命は、無性生殖の生物でした。

無性生殖というのは、体細胞分裂などによって自分とまったく同じ個体を作って繁殖する。
親と子が全く同じ遺伝子を持つクローンです。

これは自分だけで繁殖できることなので、楽といえば楽ですが、自分の細胞が劣化すると、段々と質が悪くなる可能性がある。
また、何らかの理由で環境が変化すると、それに適応できず、親子も子もともに滅びる可能性もある。

そのような時代が、実に26億年ほども続いたのち、今から12億年前に初めて有性生殖の生物が登場するのです。
これは雄と雌両性の細胞が融合して新しい個体を作るので、新しい遺伝子の組み合わせが生じます。

つまり、親と子は同じではなく、また同じ世代でもそれぞれ違った個性を持つ子どもが生まれる。
バラエティがいくらでも増えていきます。
これなら環境が変わっても、ある個体は滅んでも、別の個体は生き延びる可能性があります。

ところが、困ったこともある。
二性が合わさって新しい個体を生み出すということになると、相手を見つけられなくて、自分の子孫を残せない個体が必ず出てくるだろうと考えられるのです。

あぶれる可能性が高いのは、多分、遺伝子的に弱いオス。
強いオスは複数のメスを相手に、自分の優位な遺伝子を残せるが、相対的に弱いオスは生涯相手を見つけられず、子孫も残せないまま死んでいく。

これは、まあ動物たちであれば文句を言わないというか、自然の摂理として運命のままに生きるかも知れない。
しかし、これが人間となると、なかなか難しい問題になるでしょう。

今日、日本では、50歳まで一度も結婚せずに生きる人の割合が、男性なら23%、女性でも14%という調査結果があります。(これを「生涯未婚者」と呼ぶ。50歳で生涯というのもおかしな気がするが)

男性の4人に1人は50歳になっても伴侶を得られない。
これはかなり由々しき事態ですが、この生涯未婚率の推移を見ると、1965年には男性のその数値は、なんと2%以下なのです。

この50年の間に、日本社会は伴侶を見つけることが急速に困難な社会に変わってきているという事実。
何があったのか。
1960年代は、見合い結婚と恋愛結婚の比率が逆転した時期です。

その頃、
「見合い結婚は古い。時代遅れ」
という風潮が強くなったのですが、結果的に見れば、見合い結婚というのはとてもうまく出来た有り難い制度だったと言えそうです。

人間というのは、言ってみれば、
「有性生殖の最先端型」
です。

放っておけば遺伝子的優位者が勝者になり、あぶれる者が必ず出てくる。
そうならないように、周囲の親だとか世話好きが目を配って、奥手の者たちに助け舟を出す。

家庭連合の祝福結婚も、そのような「助け舟」だと言える側面があります。
恋愛志向の若者にとっては厄介な結婚観かも知れませんが、そうでない者たちにとっては、これほど有り難い「助け舟」は今の時代に他にない。

聖書には、
「男から取ったものだから、これを女と名づけよう。それで、人はその父と母を離れて、妻と結び合い、一体となるのである」(創世記2:23-24)
とあります。

神様の創造理想からすれば、一人の男性には一人の女性がいて、結び合わなければいけない。
これを家庭連合では、
「理想相対」
などとも言います。

しかし、有性生殖(原理用語で言えば「二性性相」)の現実は、そう生易しいものではない。

最近、米国ではしばしば銃の乱射事件が起こって、数十人者犠牲者が出たりする、そんなニュースをよく耳にします。
こういう事件の中には、インセル(involuntary celibateの略。その意味は「不本意の禁欲主義者」)、意訳すれば「非モテ男子」が引き起こしたものがあるようです。

インセル(非モテ男子)というのは、恋愛相手を見つけられない男性のことで、自身に性的な経験がない原因は女性のせいであると考えるのです。

モテる男性とモテない男性がいることは事実でしょう。
しかし、結婚問題をすべて本人の自己責任ということにすると、これは動物の世界と同じになってしまう。
モテない男性にとっては、あまりにも過酷な世界です。

昔、ウーマンリブと呼ばれるフェミニズム運動が発祥したのは米国ですが、この国は自由の国ように思われて、実のところ、社会的な抑圧が(特に男性に対して)強い国です。

フェミニズム運動は社会運動として広がっていきました。
しかし今見ていると、反フェミニズム運動(マンリブとでも呼んだらいいのか)はテロのような形でしか主張できない。
本当のところ、男はとても弱い性ではないかという気もします。

必要とする人に「助け舟」を出せる社会。
これが温かくて、人間らしい良い社会ではないでしょうか。

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Comments 1

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はちみつ

未婚率が高くなってきた背景に、経済的な理由もあるでしょうね。以前のような終身雇用が無くなってきて、リストラされる時代ですから。

家庭連合さんが「助け舟」を出すことは反対はしません。真の愛、永遠の夫婦。素晴らしい結婚の形だと思います。二人とも信仰者であれば、うまくいくと思います。
しかし現実は、アル中・暴力・無信仰者の韓国人男性が多く含まれているのも事実です。そのような男性と祝福を受け、深い傷を負った日本人女性を知っています。それは一人や二人じゃないです。
どうか韓国人男性にも教育を受けさせて、心霊が成長してから結婚に臨めるように配慮願います。

2018/07/30 (Mon) 09:12