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教育部長の講義日記

家庭連合の教育部長として、統一原理を講義し、思索する日々

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DNAの指示書

20180720 

5年前に韓国で大ヒットした映画
「7番房の奇跡」
を観る。

父娘が主人公だが、父(ヨング)は知的障害で知的年齢はほぼ6歳、娘(イェスン)は実際の6歳という設定。
間もなく小学校に入学する娘にセーラームーンの黄色いランドセルを買ってやりたいと願っていた矢先、目の前で幼い子どもが転倒して後頭部を強打し、不幸にも死亡する。

唯一その場に居合わせたヨングが疑われるが、彼はきちんと状況を説明できない。
殺人容疑で逮捕され、収監。

7番房の囚人たちに、最初は軽んじられるが、囚人同士の諍いの中で房のボスを助けたことから仲間として認められ、何とか娘と会わせてやろうと同室の囚人たちが一肌脱ぐ。
娘を刑務所の慰問団の一員として潜り込ませ、看守の目を盗んで7番房まで連れてくる。

実際にはあり得ない話だが、映画の基調は緩いコメディなので、あり得ないと分かりながらも楽しめる。

ヨングの様子を見ながら、最初はきつかった刑務所の課長も彼の無罪を信じ始め、同室の囚人たちもなぜ冤罪が起こったかを推理し始める。
ヨングに代わって、裁判での被告人弁論を起草し、それを最終弁論でそのまま読み上げれば無罪判決が出るのではないかと期待された。

ヨングも足りない頭で一生懸命にそれを覚え、いよいよ弁論の当日を迎える。
うまくすれば一発逆転、それこそタイトル通り「奇跡」が起こるのではないかという予感がする。

ところが、一体どうしたわけか。

彼は準備した弁論などまったく反故にして、
「そうです。僕がやりました。すみません。許してください」
と繰り返す。

後ろの傍聴席は騒然となる。
支援者たちは茫然自失し、原告側は歓喜の声を上げる。

ヨングが殺害したと見られた幼い子どもの父親は、警察庁の幹部。
ヨングは彼に脅されていた。

「お前が私の子を殺した。正直に自白して刑に服せ。さもないとお前の娘も同じ目に遭わせる」

それで、とても彼の頭で書けるとは思えない自供書が出来上がった。

弁論をしようとした刹那、その脅しの場面が彼の脳裏を捉えた。
それで、彼は愛娘を助けたい一心で、真実ではない供述をして、自分が罪をかぶったのだ。

結局、「奇跡」は起こらず、ヨングは無実の罪で死刑になる。
ところが、20年ほども経ってからだろうか、無実の父を失った娘イェスンが弁護士となり、昔の裁判のやり直しで、見事父の無罪を勝ち取るのである。

これが20年後に起こった「7番房の奇跡」ということになるのだろう。

★★★

映画としては、特殊な父と娘の普通以上の愛情関係にしろ、娘が父のために自分の人生をかけて無実判決を勝ち取った逆転劇にしろ、感動的な物語とも言えるでしょう。
しかし私は、ヨングが最後がに残した予想外の弁論に、この映画の真骨頂を見た気がします。

映画全編を通じて、ヨングの言動はもどかしくてしようがない。
誤解されても、きちんと弁明できない。
脅されても、反論できない。
殴られても、仕返しできない。

「もっと、しっかりしてくれよ」
と言いたくなるのですが、不思議とあまり腹は立たない。

最後の(一見)愚かな弁論を聞いても、腹が立たない。
むしろ、彼の心の内がどんな模様になっているのかと、覗き見たい気がするのです。

彼の心の中には「恨み」がない。
無実の自分を脅して罪を着せた警察幹部に対しても、彼は恨んでいない。
恨むということ自体が分からないのです。

彼の心は、
「ただ、娘を助けたい」
という思いだけなのです。

そのために自分が有罪になるとか、その挙句死刑になるとか、そんなことはまったく構わない。
もしかして、死刑になるということ自体をはっきり自覚してなかったかも知れない。

普通の知能を持った人間なら、無実の自分を貶める奴を許すことなどできないし、絶対にそんな理不尽に我慢などできない。

ヨングはなぜ、そういう気持ちにならなかったのか。
彼は普通の理性で考えていなかったのです。
理性があまりに未熟なので、本能で考えていたのです。

それは「本性」と言ってもいいし、神様がもともと人間に組み込んだ「DNA」の機能と言ってもいい。
危機的状況になった時には、自分の命よりも子どもの命を優先する。
それがDNAに書き込まれた神様の指示書です。
だから、ヨングはその指示書通りに行動した。

DNAの指示書によれば、
自分の命よりも子孫の命、子孫の命よりも人類全体の命を優先する
という原則になっている。

聖人たちが教えてくれたことも、この原則です。

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