雨の季節、6週間だけ会いにゆきます
もう14年も前の映画ですが、
「いま、会いにゆきます」
は夫役の中村獅童、妻役の竹内結子、息子役の武井証がいずれも好演し、思わず2度繰り返し観ました。
夫・巧(たくみ)は、元々人づき合いの苦手な男だったが、陸上部で走り過ぎ、脳内で化学物質が以上分泌される奇病に悩まされ、生活力が常人よりやや劣る。
高校時代、2年間隣の席だった澪(みお)に片思いするが、生来の性格からなかなか言い出せないまま卒業を迎える。
彼は地元の大学、澪は東京の大学へ進み、淡い初恋ははかなく終わるかに見えます。
しかし、映画の終盤で分かることになるが、澪のほうも実は彼に惹かれていたのに、彼女も気持ちを言えなかったのです。
20歳になったとき、澪は巧への思いを断ち切れず、たまたま見かけた彼の後姿を追って道を渡ろうとした瞬間、車に轢かれて大怪我をする。
そして、病院のベッドで稀有な体験をする。
自分の未来を見たのです。
彼女は巧と結婚し、可愛い男の子をもうける。
しかし、28歳の雨の季節に短い生涯を閉じる。
ところが、驚くのはその後です。
ちょうど1年後の雨の季節、彼女は生き返って、6週間だけ夫と息子のもとに帰り、愛を交わす。
この未来を見て、
「もし、他の人と結ばれれば、自分は死なず、違う未来になるかもしれない」
とも考える。
しかし、たとえ28歳で死ぬとしても、巧と一緒に生きたい、そして佑司という息子を生みたい、と思うのです。
それで、心を定めて巧に電話をかける。
「これから、あなたに会いに行きたいけど、いい?」
そして、澪は巧と結婚する。
可愛い息子を生み、見た未来のとおり、28歳で死んでいく。
その1年後。
梅雨に入って間もなく、澪は戻ってくる。
しかしその時、彼女は記憶を失っているのです。
それで、3人の家族はもう一度、初めから関係を作り直すしかない。
澪は、どのように巧と結ばれたのか、巧に尋ねる。
佑司もだんだんと可愛く感じる。
巧と佑司が出かけ、家で洗濯を終えた澪は、大切にしまわれた缶を見つけ、中に巧と交わした手紙を発見する。
そしてその手紙の下に、日記帳がある。
澪の日記帳です。
読んでみると、彼女は自分の運命を知る。
間もなく、自分は帰らなければいけないと知って、涙を流します。
と同時に、澪自身も実は高校時代、巧を好きだったのだと知るのです。
筋立ては、現実離れしています。
しかしそうだからこそ、現実的では見えにくい、夫婦の愛、息子を思う母親の愛というものが、とても純粋な形で現れてくるのです。
結婚すると心に決めた時、澪はまだ戸惑っている巧に向かって、こう言います。
「私とあなたはたった一人の相手だけを愛するために出会ったのよ」
そして実際、記憶を失って戻ってきた澪は、もう一度初めから巧との関係を築き直し、やっぱりまた愛し合うのです。
そして、息子に対して。
息子は、自分のためにお母さんが死んだと思って、心を痛めている。
「あなたは望まれて生まれてきたのよ。お父さんとお母さんは、あなたをこの世に生むために出会ったのかもしれないわね」
これらの場面は、私にも改めて自分の祝福結婚を振り返らせてくれます。

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