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病は市に出せ

kitasendo
20170923 

病は市に出せ

この印象的な言い回しは、
その島のひとたちは、ひとの話をきかない』(森川すいめい著)
に出てくる言葉です。

副題が、
「精神科医、『自殺希少地域』を行く」
とあります。

精神科医、森川氏が国内で自殺率の特に低い地域5ヵ所を、
「そこがなぜ低いのか」
をテーマに、バックパッカーとして現地探査したエッセイです。

その結果見つけた共通点が、
「人の話を聞かない」
ということだったというわけです。

四国のある地域での出来事。
旅館に泊まっているとき、抜いたばかりの親知らずが痛み出して、夜も寝られなくなった。
困って中居さんに、歯医者が近くにないか尋ねると、一番近いのがここから82キロだという。

中居さんが電話をすると、出張での治療はできないとのこと。
そこで中居さんが四方八方探し回って、歯科の元看護婦という人を探し出してくれた。
運のいいことには、その方が歯医者の小道具をカバンいっぱいに持っていたので、中居さんはそのカバンごと借りてきた。

精神科医も医者の端くれ。
自分でメスを取り出して、化膿の膿を取り出す。
痛みは治まり、しばらくしてまた探査のために町を歩いていると、すれ違うほとんどの人から、
「あんた、痛みは治まったかね?」
と声を掛けられる。

これはつまり、中居さんが治療できそうな人を探すときに、街中の人に森川さんの症状を話したために、
「今あの旅館に泊まっている東京の人が歯痛で苦しんでいる」
という情報が街中に知れ渡ったのです。

これが、
「病は市に出せ」
ということです。

言い換えれば、
「個人情報は街中が共有する」
ということです。

これでは、今時言われる
「個人情報の保護」
など、あったものではない。

しかし、これが自殺率の低さに貢献する一因なのでしょうか。
森川氏が探査の結果まとめた共通要因は、以下の7つです。

① 困っている人のことは、とりあえずその場で助けるようにする。
② 悩みは抱え込まずに、みなで共有する。
③ 重層的な組織は作らず、必要なことは現場で考える。
④ 見て見ぬふりはしない。
⑤ 助けた後も、さりげなく気にかけておく。
⑥ なるようになる、なるようにしかならない。
⑦ 人の話は真剣に聞かず、自分の心を大切にする。

中居さんがしてくれたことは、①と④。
その結果、②になった。
しかし、物事は結局⑥にしかならない。
そして、極めつけが⑦です。

困った人がいれば、その場では助けようとする。
しかし、深入りはしない。
なるようにしかならないのだから。
そして、最後は「自分の心」。
人の言葉、全体の流れに流されない。

「きつ過ぎず、ゆる過ぎず」
とでも言えばいいでしょうか。

「人が生きやすい場とは、どういうものか」
ということを考えさせられます。

自殺者を減らそうとすればまず、カウンセリングが登場したり、踏切にフェンスを作ったりという対策、予防が考えられるが、問題の核心はもっと違うところにあるのかもしれない。

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