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まるくまーる(旧・教育部長の講義日記)

日常の中にベストショットも神様も隠れている

2017/05/29
世の中を看る 0
20170529 

岩合光昭、動物写真家。
自然雑誌の雄「ナショナルジオグラフィック」の表紙を飾る写真に採用されて、一躍、IWAGO の名前が世界に知れ渡った。

30代、アフリカに1年間腰を据えて、野生動物の姿を撮ろうとしたことがある。
ところが、何か月たっても、思うような写真が1枚も撮れない。

アフリカに向けて発つ前、東京で構想を練った。

「草食動物は草を食べ、肉食動物はその草食動物を食べて生きている。そして最後はみんな土に還る。そういう写真を撮りたい」

そう考えて、アフリカに向かった。
ところが、その構想を満たすような写真がいつまでたっても、1枚も撮れない。

焦りが生じてくる。
そんな時、草原の真ん中で、突然車が故障して動かなくなった。
町までは40キロ。
呆然となり、トボトボと歩いていると、背の高い動物の姿がぼんやりと目に映じた。
キリンだった。

彼らは首を伸ばし、背の高い木の葉っぱを無心に食べている。
その枝には棘がある。
にも拘らず、キリンたちはその舌を伸ばして舐めるようにそぎ取って食べている。
よく見ると、口からはよだれが垂れている。
何とも、美味そうに食べているのだ。

その姿を見たとき、
「俺はアフリカに来て、一体何を撮ろうとしていたんだろう?」
という思いが心を貫いた。

東京で考えた構想に合った構図をアフリカの自然の中に探し求めていたのだ。
そのことに気づくと、自分の頭がとても重く感じられた。

「自分は頭で写真を撮ろうとしていた」

カメラマンの目の前には、いつも生きている自然の日常があることに、初めて気がついた。

わずかな水たまりに集まって、動物たちは水浴びをしている。
母馬は仔馬のじゃれ合う姿をじっと見つめている。

動物たちの、そんな何気ない日常の生活のすべてに、絵になるショットが溢れている。

「目の前に何か動物が現れるでしょう。そうすると、『よし、今日は1日、こいつと付き合って写真を撮ろう』と思うようになったんです」

この時の一種の悟りが、今、「ありのままの猫」を撮り続けて人気絶頂となっている岩合さんの原点に違いない。

今夜のNHK「仕事の流儀」で放送された「猫を知れば、世界が変わる」を見て、
「写真道だな」
と思いました。

日常の中にベストショットも神様も隠れている。

アフリカの草原の真ん中で車を故障させるなんて、神様の配剤は凄い。
どこで神様と出会えるか、分かったものではない。

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