刑務所の療法士
うら若い女性ですが、刑務所で受刑者を相手に働く療法士がいます。
先日、その方が原理講義を受けた後で話してくれた体験談が興味深いものでした。
所内でいろいろなグループワークなども指導するのですが、受刑者たちの振る舞いは簡単には統率できないことが多い。
頭が固くて融通のきかない高齢者。
プライドが高く、自説を通そうとする高学歴者。
そして概して多い自己中心的な心性。
考え方や態度を矯正しようとしても、一度や二度で聞き分ける受刑者はいない。
何度も同じことを繰り返し、2か月も3か月もかけてやっと従ってくれる受刑者もいる。
ところが、それは彼女の言うことを聞いてくれるのであって、サブの人が同じことを言っても聞いてはくれない。
初犯者たちが多いとはいえ、若い身空でよく務めているなと感心します。
ところで、彼女の話を聞きながら、イハレアカラ・ヒューレン博士の刑務所での体験談を思い出しました。
そこは、かなり重度の精神障害をもつ犯罪者たちが集まるハワイの刑務所。
時として身の危険さえ感じるような環境でした。
博士はそこに赴任して以来、数年間、ただの一人にも直接カウンセリングをせず、それでいて劇的に症状を改善させ、最後にはほとんどの受刑者たちがより軽度の刑務所に移されたというのです。
(その具体的なやり方については、「極刑は事態を改善するのか」を参照してください)
彼の取り組み手法は、普通のカウンセリングとまったく対照的です。
普通であれば、刑務所に入るのは受刑者自身に問題があると考え、それを矯正しようとします。
ところが、ヒューレン博士はすべての問題が「自分」の中にあると考えるのです。
療法士の女性の話を聞いた後、私は改めてヒューレン博士の著書を読み返してみました。
ホ・オポノポノでは、問題はあくまで自分自身の中にあると考えます。ですから、自分の中をクリーニングします。原因はすべて自分にあるのです。
もし、誰かの中に嫌な部分、醜い部分を感じたら、それは自分の中にあるということです。自分の中のものをクリーニングして消去することができたら、その誰かの嫌な部分、醜い部分も消えてしまうのです。
(『ハワイに伝わる癒しの秘宝 ホ・オポノポノ』イハレアカラ・ヒューレン著)
身の周りに何か問題が起こると、私たちは大抵、その原因は「自分の外」にあると考えて、誰かの中、あるいは環境や組織、制度の中を探り始めます。
そして、自分の外に「嫌な部分」「醜い部分」を見つけ出し、
「これが問題の原因だ」
と思い込もうとするのです。
このように、みんな自分の問題と考えないで、そのままにしてしまうのです。どこかで、100%自分の責任だと考える人がいないと、問題は何一つ解決しないのです。
(同上)
これと同じ考え方は原理の中にもあり、それを
「苦痛を甘受する」
と表現しています。
こういう話を療法士の女性と確認した後、お互い少しばかりの溜息交じりに、
「他人を矯正するのも難しいけど、他人の中に見える問題が自分の中にあると考えるのも、それ以上に難しいね」
という同意でその日の話が終わったのは、ちょっと残念です。
それでもやっぱり、頑張らねば。

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