人生は美しい将棋
これは、ただ強くなる、進歩するというだけの話ではなく、美意識の問題とも非常に重なってきます。将棋は盤面のいい形、美しい形、あるいは愚形とか、形の良しあしをきめ細かく見極める力によって強くなります。しかしコンピューターは、そういう美意識とは合わない、違和感のある形の手を提示します。そういうものに出会った時、アレルギーを感じて取り入れない、というのも考え方です。
(羽生善治王位が人工知能や棋士の決断について語ったこと)
私の将棋体験は中学生までで、それ以来、ほとんど差したことがない。
今では将棋そのものに特別な関心もないのですが、プロ棋士の話には時々興味が惹かれます。
今、羽生王位はコンピューターと対戦する電王戦の出場者を決める叡王戦にエントリーし、予選を勝ち進んでいるようです。
叡王戦で勝ち抜けば、来春には羽生王位とコンピューターとの対局が実現します。
人間の側の強み、コンピューター側の強みがそれぞれあるのでしょう。
羽生王位によれば、棋士が勝負のときに使うものは3つあるとのこと。
- 直感
- 読み
- 大局観
この3つの内、「読み」はコンピューターの得意分野でもあるでしょう。
何しろ、膨大なデータを駆使できます。
最近はそれなりの「大局観」もコンピューターは持つようになったようです。
「直感」はどうでしょうか。
直感とは、可能性をギリギリまで捨てることです。
一つの局面で平均80くらいの指し手があるうち、棋士は直感を使って2つか3つに絞るのです。
そうしないと、指し手の可能性が多すぎて、短時間のうちに決められない。
これはかなり人間独特かも知れません。
しかし、羽生王位の話からすると、(今のところ)コンピューターになくて人間にだけあるのは、
① 美意識
② プレッシャー
の2つではないかと思われます。
美意識について語った部分が、冒頭の引用です。
盤面の美しさというのは、ただ美しいのではなく、指し手の強さともつながっています。
「美しさは強さ」
これが、人間棋士の感覚です。
もう一つの、プレッシャー。
打つ手を決めかね、持ち時間が減ってくるにつれて、棋士の内面にはプレッシャーが強まってくる。
このプレッシャーをどう克服するかも、実力を上げていく重要なプロセスです。
思うに、直感、読み、大局観、美意識とプレッシャーは、私たちの人生そのもののようです。

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