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又吉直樹くらいの筆力はあるね

kitasendo
20160608 

 

本日は、私の妻の聖和15周年。


我が家の下を走る県道を横切ってさらに下っていくと、川が流れています。
5月の終わりから6月の初めにかけて、毎年、川面の上をかなりの数の蛍が舞います。
妻が聖和したその年も無数の蛍が幻想的な夜を作り出してくれていました。

長年の都会暮らしを引き払い、妻の病気治癒を願って数十年ぶりで帰ったふるさと。
息子が小学1年、娘が保育園の年中でした。

子どもたちは初めて見る蛍の舞に興奮して、次々に捕まえては、
「持って帰ってお母さんに見せよう」
と大はしゃぎでした。

子どもたちが持って帰った蛍を見て、数日後に、妻は息を引き取ったのです。

今年は息子が大学を卒業して、希望する職を見つけるまでの間、家に帰ってバイト生活をしています。

5月の終わりごろから、夜になると、
「お父さん、蛍を見に行こう」
としきりに誘うので、連れ立って川までおりて行くこと数度。

月の変わり目の頃に2、3日、かなりの蛍が舞ったものの、今年はなぜかあまり長続きがしませんでした。

すると、数日前から息子が何かを書き始め、昨日の夜それを持ってきて、
「お父さん、読んでみて」
と言うのです。

『蛍』
という題のつけられた短編小説のようです。

昨夜の時点では、まだ小説の前半部分しか書かれておらず、今夜になってまた原稿を持ってきて、
「最後まで書き終えたから、読んでみて。出来れば、声に出して朗読してみて」
と言うので、彼を横において、読んでみました。

おじいちゃんがどうやら平家落人の血を引いていたらしく、晩年になって奇行を起こし、最後は箪笥に隠し持っていた先祖の刀を持って、凄まじい嵐の夜に姿を消した。
おじいちゃんの部屋には蛍が1匹、かすかな光を発して舞い込み、そしてまたどこかへ消えた。

主人公の孫は、
「おじいちゃんの魂は平家蛍になって、歴史の戦場へ帰って行った。二度と帰ってこない」
と思う。

そんな話です。
なかなかの筆力なので、驚きました。

「又吉直樹くらいの筆力はあるね」
と褒めると、
「それじゃあ、芥川賞を取れるということじゃん」
と息子。

「それがね、これを書いていると、たまたまテレビで『平家落人』『隠田』というような番組をやっていたんだ。『隠田』なんて言葉はそれまで知らなかったんだけど、平家の落人が隠れた里で作ったのが隠田なんだって。それにヒントを得て、うまく筋書きを立てることができたんだ」

そういう息子の話を聞いていて、いささか不思議の感に打たれました。

「お母さんも15年前に君らが捕まえてきた蛍を見て霊界に行ったんだ。そのちょうど命日の日に君が『蛍』という小説を書き上げるなんて、奇妙だね。これはどうも、お母さんの入れ知恵かも知れないね」

おかしなことに、間もなく外では雨音が聞こえ始めました。
床に入る頃には次第に雨脚は強くなり、雷も何度か鳴り響いてきたのです。

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Admin:kitasendo