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まるくまーる(旧・教育部長の講義日記)

家に帰りたくない人たち

2016/05/21
世の中を看る 0
20160521 

昭和から続く日本の悪しき伝統
「無駄な残業」

これを削減するのに、生半可な方法では効果がない。
なぜなら、日本には会社が終わっても「家に帰りたくない人」が溢れているからだ。

そういう趣旨の記事を読んで、ちょっと驚くと同時に、
「なるほど、そういう視点もあり得るのか」
と、妙に腑に落ちる気もしました。

同記事が紹介する厚労省の統計によると、バブル崩壊直後の1995年以来、日本人の年間労働平均時間は2000時間を少し上回るところで、ほぼ横ばいに推移しているとのことです。

ある研究所の分析によれば、残業がなかなか減らない理由は2つあります。

一つは、労働時間の長さが明らかに昇進確率を上げるという事実。
これはデータからはっきりと読み取れます。
昇進を狙う上昇志向の強い社員は、残業を厭わないのです。

そして、もう一つの理由が「家に帰りたくない」という難しい事情。
この理由で残業を減らそうとしない人たちは、上昇志向が強いわけではありません。
「家に帰りたくない」という負の意識が、彼らを会社により長く留めるのです。

経営側は何とか残業時間を削減しようと様々な手を打っています。

その工夫がある程度は功を奏している場合もありますが、
「家に帰りたくない」
という社員の心と事情まで変えるような手を打つことは、経営側には無理な話でしょう。

「家に帰りたくない」という事情は人それぞれです。

例えば男性で、家に早く帰ると、妻と顔を長く付き合わせているのが気まずい。
長年会社優先できて家族を疎かにしてきたので、子どもたちが懐いてくれない。

あるいは、家に帰りたくないというほどではないが、かつてのような仕事以外の自己啓発にも意欲が薄れ、かと言って家に帰っても面白くないので、漠然と会社に居残ったり、どこかをぶらついたりする。

数は少ないながら、記事ではそういう人を何人か取材して紹介しています。

「家に帰りたくない」という日本人がどれくらいの割合いるのか。
本当に日本はそういう人の割合が諸外国と比べて高いのか。
それは分かりませんが、それなりの数いるのかも知れないという気はします。

この「家に帰りたくない」という心と事情。
これはかなり深刻な問題だなと思います。

大抵の人は、昼間どこか外で働く。
しかし日が暮れれば、必ず彼(彼女)が愛する父母、配偶者、子どもたちのいる家庭に帰っていく。
それが最も基本的な、万古不易の人の有り様だろうと思います。
その家庭に帰りたくないとなれば、その人は一体どこに帰るのでしょうか。

会社でどれほど一生懸命に働き、そこで実績を上げ、出世をしたとしても、「心から帰りたい家」がなかったとすれば、その人はある意味の浮浪者ではないでしょうか。

会社が求めるのは、より高い生産性を上げる人材という「実」です。
しかしその「実」を育てるのは、会社ではなく家庭です。
人は誰でも、「家庭」という土壌から離れては健全に育つことも生きていくこともできないでしょう。

「家庭」という土壌の質が劣化すれば、会社は良い「実」を摘むこともできなくなります。
「帰りたい家」を作り、「家に帰りたい人」を増やす。
日本の生産性を上げる、最も基本的で貴重な仕事がこれだとも言えます。

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