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まるくまーる(旧・教育部長の講義日記)

遠くは見ない、明日だけを見る

2015/10/27
胸に響く言葉 2
20151027 

「遠くは見ない。明日だけを見る」

昨日のNHK番組「プロフェッショナル」に登場した歌舞伎役者、坂東玉三郎が自分の生き方をこう表現しました。

当代の歌舞伎界で、出色の女形。
芝居の日々、劇場と自宅の往復しかしない。

家に着くとすぐ、専属のトレーナーの入念なマッサージを受け、そのまま休む。
翌日の発声を崩さないために、無用な電話は一切しない。

徹しています。
明日の芝居のことだけを考えているのです。

インタビュアーはお笑い芸人の岡村隆史。

「遠い10年先の目標を定めて、それに向かっていったとしても、それが達成できなくなったら、すごいストレスですよね。それよりも、明日を見つめる。そのほうが自然と導かれるんじゃないかなと思う」

そういう玉三郎に対して、岡村が、
「僕はこれまでいつも、遠い先ばっかり見てやってきたんですよ」
と言うと、玉三郎はすかさず、
「それは、不安なんじゃないですか」
と指摘します。

しかし実は、玉三郎こそ不安な人生だったのです。
小さい頃は虚弱体質で、普通の人生を生きていけるかさえ分からなかった。
女形になろうとすると、背丈が高過ぎると言われた。

ところが、身体能力がずば抜けていたのです。
演技における体の動きが余人を寄せ付けない魅力を発揮しました。

するとその名声と人気は高まり、活動は国内ばかりか、外国にまで進出。
海外の演劇好きの絶賛を浴びるようになったのです。

10年先を見つめる勇気は持てなかったのかも知れません。
次の日だけを見て、演技を磨いてきたのです。

「振り返ってみて、人生、楽しかったですか? 幸せですか?」
という岡村の質問に対しては、
「幸運だったと思います。人から見ればとても幸運に見えるでしょうね。ということは、幸せだったんだと思います。オタクみたいで、人生どうなるかわからないような子どもだった人間が、『人生、幸せでしたか?』と言われて、『私の人生は ... 』と言えるようになったというだけでも、夢のような人生でしたね」

そう語る時の玉三郎の表情も所作も、「役者」の美しさを放っているのに圧倒されました。

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Comments 2

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もみまま

教育部長さんのブログで、玉三郎さんにお会いできるなんて、感激です。素敵な方はみんな自分に厳しいのです。そう言う所から魅力が生まれるのです。愛ですね。

2015/10/27 (Tue) 23:58

教育部長

もみままさんへ

私も歌舞伎に特別な興味があるわけでもなく、玉三郎さんもじっくり拝見したことがなかったのですが、今回テレビに映るその顔立ち、表情、所作、しゃべり方などに、特別な気品を感じました。役者として作り上げたものもあるでしょうが、その道に打ち込んでいる人間の無言の自信のようなものを感じました。

2015/10/28 (Wed) 17:01