カラスとの約束
小林正観さんの本に紹介されていた話です。
あるスイカ農家から相談を受けました。
翌日の午前中に収穫して出荷しようと思っていると、その前にカラスがやってきて半分まで食べてしまう。追い払おうにも畑が広すぎる。何か良い方法はないでしょうか。
そこで、小林さんのアドバイス。
カラスも人間も宇宙の一部です。全部を独り占めにするのは無理かも知れません。そこでカラスに頼んでみてはどうでしょう。
「カラスさん、私たちはスイカを出荷して生活しています。その日に収穫する中の2割をカラスさんに差し上げますので、残る8割は傷をつけないようにお願いします」
何だか、冗談のような話です。
しかし、農家の方は、他に方法もないので、だまされたと思って、実際カラスに向かってお願いしたそうです。
すると驚いたことに、翌日からカラスたちは2割だけを選んで食べるようになったのです。
この夏、私の家でもスイカを作っていました。子供たちに食べさせてやりたい思いで、裏の畑に母が作っているささやかなものです。
ところが毎年、食べ頃になるとカラスがやってきて、やはり半分かそれ以上だめになってしまうのが常でした。
そこで私は母に小林さんのアドバイスを教えたのですが、母は笑って本気にしません。
そこで、ある朝、私が畑に出て、近くにカラスの姿は見えませんでしたが、やや大きめの声で、2割と8割の話をしたのです。
その夏、我が家の畑には12個のスイカがつきました。そして、最終的にカラスに食べられたのが3つ。
2割5分という結果でした。
この結果に、母は大いに喜びました。そしてこの夏は、実に甘いスイカを飽きるほど食べることができたのです。
私のお願いが本当にカラスに届いたのかどうか、私には分かりません。
しかしそれ以来、私はカラスを見る度に、今までになかった親近感を覚えるようになりました。
それまでカラスというと、ずる賢い、どん欲、というイメージだったのですが、そのイメージががらりと変わったのです。
最近は、カラスを見ると、何かと親しく話しかけるようになった私です。
小林氏が提示した思想の意味は、競争や生き残りではなく、共生、共栄ということでしょう。
私に割り当てられるパイに限界があるという認識に立てば、相手に分け与えることは難しいし、共有という考えもしにくくなります。
私のパイは無限である、という考え方は、神様との関係からしか出てこないのではないかと思います。

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