顧客のために運営しなければ、我々の車も運転されない
先日参加したFE研修会で知った『経営者に贈る5つの質問』(P.F.ドラッカー著)をじっくりと読んでいる途中です。
この本で扱っているのは利益追求を主眼とする営利企業ではなく、利益を主目的としない非営利組織です。
教会は、言うまでもなく非営利組織の一つですから、ドラッカー博士の提示する5つの質問を、一つ一つ我が身に照らして考えながら読むことができます。
5つの質問とは、以下の通り。
① われわれのミッションは何か?
② われわれの顧客は誰か?
③ 顧客にとっての価値は何か?
④ われわれにとって成果は何か?
⑤ われわれの計画は何か?
それぞれの質問はとてもシンプルなのですが、大体物事はシンプルなものほど難しいものです。
一つの質問にも、答えるのは決して容易ではありません。
②と③の質問について、少し考えてみます。
かつて、フォードの役員の一人は、
「顧客のために運営しなければ、我々の車も運転されない」
と言いました。
当然といえば、当然です。
自動車会社がいくら一生懸命に車を生産しても、誰も買ってくれる人がいなければ、その車はガラクタに等しく、利益を上げることもできません。
自動車会社にとっての顧客は誰か?
その顧客は、一体何を欲しているか?
それを的確に把握しなければなりません。
この時、特に、顧客のニーズを把握するのに、
「ニーズは顧客自身に問わねばならない。『これだろう』と勝手に想像してはならない。そして、顧客はみな正しいとする」
と、ドラッカーは言っています。
我々は往々にして、
「顧客が欲しがっているのは、こういうものだろう」
と自分で勝手に決めつけた土台でサービスを提供しようとするものです。
教会にとっての顧客は、第一に、伝道されてくるゲストだと言えるでしょう。
しかし、その人たちは一体何を期待して教会に来るのか?
それを教会側が勝手に想像してはならないというのです。
彼らのニーズは彼ら自身に尋ねてみなければならないし、彼らの回答は必ず正しいとしなければならない。
教会は、
「ゲストというものは、み言葉が必要だ。それを通して、より幸福な家庭を作れるようにしてあげなければならない」
と考えます。
ところが、ただ原理講義をしてもしっくりしません。
あまり理解できていないとみると、噛み砕いてさらに説明しようと試みます。
しかし、今そのゲストが願っているのは、み言葉をふんだんに聞くことではなく、逆に自分の話をじっくり聞いてもらうことであるかも知れないのです。
この点もきわめて重要だと思いますが、ここではもう一つのポイント、
「顧客には2種類ある」
ということを考えておきます。
顧客には、
① 活動対象としての顧客
② パートナーとしての顧客
の2種類があります。
教会で言えば、ゲストが活動対象としての顧客です。
それに対して、パートナーとしての顧客とは、ともに教会活動をする教会員のことです。
教会はこの2種類の顧客をともに満足させなくては、その組織としての価値を保つことができません。
パートナーとしての顧客を満足させるとは、どういうことでしょうか。
「私はこの教会に入って良かった」
「私はこの教会で祝福を受けて幸せになった」
「私はこの教会のお陰で、霊的に成長し、経済的にも豊かになった」
このような満足があってこそ、教会員は心から活動対象としての顧客のために奉仕したいという心になるでしょう。
教会員は、教会という組織を大きくするための単なる戦力ではありません。
自らの幸福感を増大したいと願っている顧客の一人なのです。
教会員が自らの幸福に対して受け身であっていいと言うのではありません。
ただ、一人一人は大切な顧客でもあるという視点。
これも必要ではないかということです。
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